【詳報】障害者施設入所者に暴行 職員逮捕 岡山・和気、容疑で県警 入所者は死亡
岡山県和気町小坂の障害者支援施設「ぽれぽれ」で、50代の男性入所者に暴行を加えてけがをさせたとして、県警捜査1課と備前署は18日、傷害の疑いで赤磐市、施設職員の男(37)を逮捕した。入所者は暴行を受けた後に体調が急変して死亡しており、県警が司法解剖して因果関係を調べる。 逮捕容疑は17日午前11時半ごろ、施設内の廊下で男性の顔を壁に打ち付けるなどの暴行を加え、顎にけがを負わせた疑い。「私がやったことに間違いありません」と容疑を認めている。 県警によると、男性の呼吸が弱くなるなど体調に異変が現れ、施設側が17日午後3時17分に119番。搬送先の病院で死亡し、署に通報があった。施設の防犯カメラの映像などから容疑者を割り出した。 施設は2003年4月に開所。知的障害者の入所、短期入所施設で、定員50人に対し49人が利用している。容疑者は入所者の食事や移動の介助をする生活支援員だった。県警は詳しい経緯や動機の解明を進めるとともに、日常的に暴力を振るっていなかったかも慎重に調べる方針。 現場は和気町役場の北西約12キロの山あい。
数カ月前も虐待事案、防止策実らず
入所者に暴行した容疑で18日に職員が逮捕された障害者支援施設「ぽれぽれ」によると、施設では数カ月前にも別の職員による入所者への虐待事案が2件発生したばかりだった。再発防止策を強化していただけに「どうしたらいいのか思いつかない」。関係者に戸惑いと衝撃が広がった。 施設によると、容疑者は2008年ごろから勤務するベテラン。これまで入所者に向かって大声を出したり、手を上げたりした情報はなかった。「勤務態度に問題はなく、入所者らを盛り上げるような役回りだった」という。 障害者への虐待は、社会的関心や早期発見の意識が高まり、全国的に件数が増えている。岡山県のまとめでは、22年度に県内で確認されたのは90件と、統計を取り始めた12年度以降で最多。うち職員による虐待も28件と最も多かった。 施設では虐待が報じられるたびに「人ごとではない」と危機感を共有。今月上旬からは、利用者に大声を出さなかったかなどをチェックするリストを導入していた。関係者は「虐待防止の取り組みを継続するしかない」と声を絞った。