「“アスリート妊婦”ってどうしたらいいの?」元なでしこDF岩清水梓が悩んだ“妊娠後の孤独”…「ずっと寂しかったんだ」気づいた本心
“アスリート妊婦”が産後に向けてやっていいことは何?
しかし、これは私の検索能力も関係するのだけれど、調べても、調べても、出てくる情報は当たり前だが「一般論」ばかりだった。大体は、転ばないように、とか、重いものを持たないで、みたいな常識的な情報になる。「やらないほうがいいこと」はいくらでも見つかるのだけれど、運動において「やっていいこと」がなかなか見つからない。 もちろん得た情報に準じて気をつけてはいたけれど、その直前まで試合に出てスライディングをしていたような特殊な妊婦には、すべてが「安静」に匹敵するような情報にしか見えなかった。とにかく、情報がない。“アスリート妊婦”が産後を見越してトレーニングをするには、どうしたらいいんだ? アメリカの選手はどうしていたんだろう? あんなに子連れの選手がいるんだから、きっと産前プログラムなどがあるはず。それでもやはり、自力の検索ではまったくたどり着けない。また、その当時はSNSもあまりやっていなかったので、それらしき海外などの情報に遭遇するといったこともなく、若干、途方に暮れていた。
孤独だった手探りのセルフトレーニング
だからと言って、なにもしないわけにはいかない。私には、出産後に戦線に復帰するというミッションがある。運動もせずに普通に過ごしていてはダメなのだ。 雲をつかむような手探りのセルフトレーニングは孤独だった。 基本すべてが恐る恐る。妊婦さんならみんな感じると思うけれど、まず「安定期に入るまで安静に」って、どのぐらいのレベルの「安静」なのかがわからない。だからすべてが自己判断だった。 重いもの持っちゃダメっていう人が、ダンベルを持っていいのだろうかと思いつつ、座ったままなら大丈夫かな、とか。腹筋は使わないほうがいいのかな、とか。できるだけ負荷をかけないで、足首や上半身のトレーニングをするなど、自分の知っている限りの知識をフル稼働させた。そんな恐る恐るのセルフトレーニングは、3カ月ほど続いた。 今になって思えば、第二子を出産しているような人は、十数キロもの第一子を、妊娠中も抱っこしたりしているわけで、そこまでナーバスになる必要はなかったのかな、とわかる。負荷だって、きっと思っていた以上に余裕だったはず。でも第一子って、本当に、教えてもらえないと、不安だらけで全然わからないのだ。
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