円が再び下げ拡大、156円80銭台で日中安値更新-一時急反発も続かず
(ブルームバーグ): 円相場は一時急反発したものの再び売り優勢となり、日中安値を更新した。日本銀行の植田和男総裁の定例会見中に円安が進んだ後に急速に買い戻され、154円を付ける場面もあったが、一時的な反発で終わった。市場では日本の通貨当局による介入への警戒感が高まっている。
円は対ドルで一時前日比0.4%高の154円99銭まで上昇。だが、ロンドン時間26日午後0時3分時点では156円86銭前後と、急反発前の水準を超えて円安が進んでいる。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、「タイミング的にも植田総裁の会見が終わった後ということで値動き的には介入が入っているような動きに見えるが、分からない」と述べた。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は「介入ではないと思う。介入でこの程度だと厳しい」と話している。
一時的に円が急伸したことを受け、大阪取引所の日経平均先物は夜間取引で、一時3万7700円まで失速する場面があった。それまでは3万8000円台で推移していた。
日銀は同日開いた金融政策決定会合で、政策金利の無担保コール翌日物を現状の0-0.1%に維持することを決定した。前回会合でマイナス金利解除を決めたばかりで、市場の予想通りだった。低金利が維持されることで米国との金利差が開いたままとなり、ドル買い・円売りが続いている。
植田総裁は午後の会見で、経済・物価情勢の展望(展望リポート)における2024年度物価見通しの上方修正に円安の影響が若干は含まれているとしながらも、「今のところ大きな影響を与えているということではない」と説明。基調的な物価上昇率への影響が今後発生するリスクはゼロではないとし、「無視し得ない影響が発生するということであれば、金融政策上の考慮あるいは判断材料となる」と語った。
日銀総裁、円安が基調物価に無視し得ぬ影響なら判断材料に-政策維持