“悪童”ネリが9回KOでパヤノ粉砕も「難しい相手だった」
4ラウンドには焦れたようにネリが圧力を強め、前へ出てラッシュ。途中、プロレスばりにパヤノを投げ倒すシーンも。ただ、このラウンドから、しばしば背中に手をやり気にする仕草があった。 中盤戦もネリはプレッシャーを弱めないが、パヤノの足を止めることができない。風の音が聞こえそうなフックをブンブンと振り回すが、インファイトでも応戦され決定打を奪えなかった。それでも上下に乱打してパヤノを防戦一方にさせ、7ラウンドには、手ごたえをつかんだのか、コーナーに戻る際に観客を煽った。 8ラウンドには左のショートフックをヒット。打ち疲れから、ややペースダウンしたかのように見えたが、9ラウンドについに一撃で仕留めた。このクラスでは特筆すべき爆発力だろう。 試合後、リング上でインタビューを受けたネリは、スペイン語の通訳を挟み「彼(パヤノ)は非常に難しいファイターだった。やはりベテランだ。私は、彼のスタイルに適応しなければならなかった。 しかし、私はしっかりと試合をコントロールした。左のボディへのフックは破壊的だったと思う」と、パヤノの戦略に手こずったことを素直に打ち明けた。ネリは、この試合で弱点をさらけ出した。 ただ、元世界王者との事実上の挑戦者決定戦を勝ち抜いたことで、ネリは、ウーバーリ対井上拓真のWBCのベルトを統一した勝者と指名試合で対戦することになる。 そして、その先に見据えるのが井上尚弥との“頂上対決”。 ネリは、この試合直前の現地メディアのインタビューに対して「彼と戦うことに興味があるのは明らかだ。彼と戦う前に(WBC世界バンタム級の)タイトルを取らねばならないなど、いくつかやることがあるが、彼との戦いには絶対的な興味がある。なるべく(井上尚弥戦に)早くたどり着くようにしたい」と語っていた。 だが、この日の出来なら井上尚弥の敵ではないだろう。パヤノがネリの不得意な距離を明らかにしたし、武器であるフックがあれだけ荒くて大振りなら、先に井上尚弥のカウンターがヒットする。噛み合う試合になることは確かだが、今の井上尚弥を相手に噛み合うことは“敗戦”を意味するのだ。