パナマ滞在の移民、強制送還旅費を米国が肩代わり 流入制限で覚書
米国と中米パナマは1日、移民の流入制限を巡る覚書を結んだ。パナマには米国に向かう移民の主要ルートの密林があり、移民の流れに影響が出そうだ。 【写真まとめ】難民キャンプ 破壊され続ける尊厳 AP通信によると、覚書はパナマに滞在する移民の強制送還が柱。パナマが送還対象を決め、米国は送還のための飛行機代を肩代わりするほか、移民を管理するパナマ当局の人材育成に協力する。 パナマが南米コロンビアと接する国境地帯は「ダリエン地峡」と呼ばれ、昨年は約50万人が横断した。今年はこれまでに19万人以上が横断し、その大半はベネズエラ、エクアドル、コロンビアの南米3カ国と中国出身者だった。 11月の米大統領選では、米国に押し寄せる移民への対応が争点の一つで、トランプ前大統領はバイデン政権の国境管理の甘さによって多数の「テロリスト」が入国しているなどと批判を強めている。バイデン氏は、パナマと連携することで流入する移民を減らす考えとみられる。 米国家安全保障会議(NSC)のワトソン報道官は1日の声明で「米国は、法的根拠のない移民の迅速で安全かつ、人道的な送還を始めるパナマの取り組みを支援する」と述べた。 ◇中道右派ムリノ氏、大統領就任 パナマでは1日、5月の選挙で勝利した中道右派のホセ・ラウル・ムリノ元外相が大統領に就任した。ムリノ氏は同日、麻薬密輸や人身売買に関わる国際犯罪組織によって多くの移民がパナマに不法入国していると指摘。人々が移民となるには「根深い理由があると理解しているが、各国が問題解決に当たるべきだ」と述べた。ムリノ氏は選挙戦でダリエン地峡の封鎖を公約にしていた。【ニューヨーク中村聡也】