『ヒプステ』松岡拳紀介×YUKIが語る2作目ゆえの緊張感と期待
音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」の舞台化シリーズ『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage(=『ヒプステ』)。今年3月、新キャストを迎えた公演-New Encounter-で新たなスタートを切ったのに続き、10月には新作-Grateful Cypher-が上演される。イケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”の次男・山田 二郎役の松岡拳紀介とヨコハマ・ディビジョン “MAD TRIGGER CREW”の入間 銃兎役のYUKIが-New Encounter-での出会いを経ての-Grateful Cypher-への思いを語った。 【全ての写真】松岡拳紀介、YUKIの撮り下ろしカット ――まずは3月の-New Encounter-で初めて『ヒプステ』のステージに立ってみての感想を聞かせてください。 松岡 本番公演中はすごく楽しかったんですけど、終わった後に感じるものがすごく大きかったですね。余韻というか「もう1回やりたい」という気持ちがより強くなっていきました。やはり本番中は、楽しみながらも一回、一回の公演を必死に、毎回全力でという意識があって、終わった後に「すごく楽しかったな」とより実感しました。 ――最初にステージに立った時、「これが『ヒプステ』か!」みたいな感慨はありましたか? 松岡 めちゃくちゃヤバかったです。めちゃめちゃ緊張しましたよ(苦笑)。 YUKI 独特の緊張感があったね。「楽しもう」という気持ちはありつつも、初めてということで「どうやって新しい『ヒプステ』を見せるか?」という真剣な思いがすごく強かったので、緊張感と心臓バクバクな感じがありました。 松岡 初めて本番前に足が震えましたね。「ヤバい! 落ち着かないと」って。 YUKI -New Encounter-というタイトル通り、仲間と出会う物語で、僕らも一緒にチームを築き上げていくという部分で重なるところがありましたね。 ――YUKIさんは最初に幕が開いた時はどんな気持ちでしたか? YUKI 個人的には、やるべきことは完璧にこなしたと思えていたので、緊張はしましたけど、あとは「かますだけ」という気持ちでした。 松岡 カッコいい! YUKI 自分ができる最も良いものを出すだけという思いでした。 ――YUKIさんは、以前から『ヒプステ』が大好きだったそうですね。これまでも様々な舞台に出演されていますが、アーティストとして『ヒプステ』に出演することに特別な思いはありましたか? YUKI 『ヒプステ』はめちゃめちゃ特別な存在ですし、僕が舞台に出るようになったのは『ヒプステ』に出るという夢があったからなので、ひとつ大きな夢がかなえられた瞬間でした。 ――-New Encounter-を経た上で、今回の-Grateful Cypher-への思いをお聞かせください。 松岡 前回の-New Encounter-をやりきって、僕たちもそうですし、お客さんも熱量がいい感じに上がっていったところで終わって、ありがたいことにこの-Grateful Cypher-が決まったので、前回を超えられるような作品にしたいです。新しいキャストの方も出るので、より『ヒプステ』の世界を盛り上げて、いろんな方に届けられるような公演にしたいです。 YUKI 本当にその通り! みんな、根がマジメなので、きっと同じことを思っているんじゃないかと思います。舞台用語で“二落ち(※1作目の盛り上がりの後の2作目で失敗すること)”という言葉があるように、2作目というのは一番ハードルが高くなっている状態だと思うので、そこを越えていかないとお客さんも付いてこないですよね。気を抜かず、1作目を超える熱量でやりたいです。 ――改めて、ご自身の役の印象について、一度演じたことで理解が深まった部分なども含めて教えてください。 松岡 二郎は結構、自分に近い部分を感じてて、僕自身は長男で弟がいて、昔からすごく仲は良いけど、しょっちゅうケンカもしてたんですよね。何かを決める時はケンカで決めるみたいな(笑)。小さい頃から空手をやってたんで……。 YUKI めっちゃ武力使うじゃん(笑)! 松岡 何を決めるにも「戦って決めようぜ」という家系でして……(笑)。二郎は三郎に対し、ちゃんと愛を持っていて、そこは通じる部分を感じています。 YUKI いや、三郎に対して「めっちゃ強く出るなぁ」と思ってたけど、そういうことだったのね(笑)。 松岡 逆に自分が長男で兄がいないので、真ん中(次男)の立場で「もしお兄ちゃんがいたら……?」って考えながら演じていました。しっかり者の一郎がいて、弟たちは一郎が大好きという関係性ですけど、実際に楽屋でも徐々に兄弟っぽさが出てきたなと感じていますし、それは一郎役の石川凌雅くんが引っ張ってくれている部分が大きいのかなと思っています。 YUKI 傍から見てもそれはすごく感じたよ。凌雅の持っている包容力が、単に先輩としてのものじゃなく、兄のような雰囲気なんだよね。公演を重ねるごとに「本当に兄弟っぽいな」と思って見てました。 松岡 本当に「お兄ちゃん」って感じで、思わず「お兄ちゃん」と呼んじゃいそうな瞬間がありました。 ――-New Encounter-では各ディビジョンのメンバーたちの“出会い”が描かれましたが、“Buster Bros!!!”の3人は実の兄弟なので他のディビジョンとはまた違った関係性の構築が求められたかと思います。 松岡 そうなんですよね。チームの結成ではあるんですけど、他のディビジョンとは違った角度での3人の絆が描かれていて、最後は一郎と戦うという展開だったのでこの“先”がさらにワクワクするような公演になりました。 ――銃兎に関しては演じられてみていかがでしたか? YUKI 銃兎の「やるときは徹底的にやる」という部分であったり、「信念を曲げない」というところは、自分との共通点を感じていました。彼は「リスクを取る勇気がなければ、何も達成することがない人生になる」というポリシーがあるんですが、それがすごく勉強になったというか、僕はリスクを恐れてしまうタイプの人間だったんですけど、-New Encounter-に出演して、いろんなことを背負いながらステージに立つ中で、その言葉がすごく響きました。 新たな発見という意味では、稽古を進めていく中で、『ヒプノシスマイク』が好きであるがゆえに声優キャストさんの完璧なモノマネを目指してしまっていたところがあったんですよね。それは僕だけでなく、もしかしたらみんなあったんじゃないかと思います。 松岡 そうですね。 YUKI でも(演出の)植木豪さんとお話しする中で、舞台でこの作品をやる意味、僕がこの役を演じる意味というものにフォーカスすることができて、そこでの気づきによって、役柄への解像度が上がった気がします。銃兎がアニメでもやっていない動きを「でも、銃兎ならこういうことするんじゃないか?」と解釈を深めていくことで生み出すこともできましたし。 松岡 いや、YUKIくんはお芝居ももちろんだけど、パフォーマンスが本当にエグくて、カッコよくて、みんな憧れてました。公演を見に来た僕の友達も「銃兎のパフォーマンスヤバいね」って。しかも、みんなマネしようとするけどできない(笑)! 下手にマネしたら、股関節をケガしちゃうから。舞台袖や裏で見てテンション上がってました。 YUKI 足技に関しては、アニメで一度だけ銃兎が膝蹴りを入れるシーンがあったので、手じゃなくて足を使うんじゃないか? というイメージがあったのでやってみたんだよね。