ロシアの人民元流動性不足が深刻化も、10月に米ライセンス切れで
Elena Fabrichnaya [モスクワ 26日 ロイター] - 米国が対ロシア制裁に関連し、金融機関に発行したライセンスが10月12日に期限切れを迎える。ロシアでは既に中国人民元の流動性が不足しているが、ライセンス切れ以降は人民元取引が一段と難しくなりかねない。 米財務省外国資産管理局(OFAC)は6月、モスクワ取引所と傘下の精算機関に制裁を科し、同取引所でのドルとユーロの取引が直ちに停止された。OFACは特定の取引については解消の手続きを認めるライセンスを発行したが、これが10月12日に失効する。 決済市場関係者によると、ライセンスが失効すると中国の銀行のロシア子会社を含む全ての金融機関の為替手続きが停止され、モスクワ取引所における外為取引ポジションが閉じられる。「従って人民元の流動性供給を巡る状況は一段と困難になるだろう」という。 ロシアが2022年にウクライナに侵攻して以来、西側の制裁とロシアの「脱ドル化」政策が相まって、ロシアでは人民元が最も取引量の多い外貨となっている。 しかし中国の銀行は、米国がブラックリストに載せたロシア企業と取引することによる「二次制裁」のリスクを警戒。一方でロシア中央銀行は為替スワップを通じた人民元の供給継続に消極的で、輸入業者からは中ロ間の決済問題が深刻化しかねないと危惧する声も聞かれる。 ロイターは先月、中国国営銀行が対ロシア取引を中止したことで、数十億元相当の決済が棚上げになったと報じた。