「研究者はお金持ちにはなれない」という日本とは大違い…アメリカの大学に世界中から優秀人材が集まる理由
なぜアメリカでは有力なスタートアップが次々と誕生し、成長を続けているのか。京都大学イノベーション・マネジメント・サイエンス特定教授・木谷哲夫さんの著書『イノベーション全史』(BOW BOOKS)より、そのカラクリを紹介する――。 【この記事の画像を見る】 ■世界トップ50社の6割がアメリカ企業 現在シリコンバレーのもたらす経済規模は膨大なものです。世界における時価総額トップ50社のランキングを見ると、米国企業が約6割の30社を占めます(2023年1月末時点)。 時価総額は、株価×株式数で算出され、企業の価値を表します。その企業の収益力、将来の成長性、ブランド力などをすべて織り込んで市場が評価する会社の価値となるので、企業の実力を測る上でとても有用な情報です。 アメリカの次に多いのが中国ですが、4社しかありません。日本企業はトヨタ1社だけ(44位)。しかし、シリコンバレーからは8社も入っています(時価総額順位、会社名)。 1 Apple Inc. 4 Alphabet Inc. 7 Tesla Inc. 8 NVIDIA Corporation 17 Meta Platforms Inc. 34 Broadcom 37 Oracle Corporation 48 Cisco 近隣の西海岸の都市に本社を置くマイクロソフトやアマゾン等を入れると、その経済規模は圧倒的なものです。 3 Microsoft Corporation 5 Amazon.com, Inc. ランク外ながらその他のトップ50の常連企業として、以下のような有力企業もあります。 Paypal Holdings Inc. Adobe Inc. Salesforce Inc. Netflix Intel Corporation ■アップルの時価総額は日本の国家予算の2倍 注目すべきは、トヨタ自動車とアップルでは、ここ数年、アップルの利益はトヨタの2~3倍でしかないのに、時価総額では、2兆ドルを超え、トヨタの10倍以上となっていることです。 2兆ドルというと、250兆円くらいであり、日本の国家予算(2023年度予算案は114兆円)の倍にあたります。日本の国家予算全部を使ってアップル株を買収しようとしても、半分も買えないという計算となります。 時価総額が高いということは、アップルの未来の成長についての期待が大きいということです。 そのため、企業価値の倍率に大きな差が生じていることを示しているのです。