《ブラジル》「地球の病気は人類だ」著名気候学者ノブレ氏が警告
「このままでは地球の大部分が住めなくなる」
【既報関連】今週は気候変動や飢餓を主要テーマに国連総会などが開催されるが、ニューヨークでの気候週間で発表された『惑星の健康』と題する文書について、ブラジル人気候学者のカルロス・ノブレ氏が語ったと23日付アジェンシア・ブラジルが報じた。 同氏はサンパウロ総合大学高等研究所の共同研究者、アマゾン科学パネルの共同議長として、諸国の政治家や環境指導者らと共にプラネタリー・ガーディアンズ運動に参加。地球温暖化の危険性、温室効果ガスの排出を逆転させることの重要性、気候変動影響軽減のための代替案などを示してきた。 同氏は、ブラジルには地球最大の熱帯林のアマゾンや大西洋岸森林帯、地球上で最も生物多様性が豊かな熱帯サバンナのセラード、パンタナルといった生態系があることや、持続可能で現代的な生産性の高い農業と畜産では火を使わないこと、歴史的な干ばつや熱波に人為的な火災が重なり、甚大な被害や大気汚染などに悩んでいることなどを強調。適応能力を大幅に高め、全ての生態系を保護し、最大の森林再生プロジェクトを行う国になることを目指しているのに、全てに火をつける犯罪が横行しており、それと闘う必要も語った。 ノブレ氏は、「このままでは地球の大部分が(人類には)住めなくなる可能性がある。次の世紀までに気温が4度上昇すれば、地球の大部分が居住不可能になってしまう可能性があり、もし22世紀の半ばに気温がさらに8度から10度上昇すれば人類の絶滅を引き起こすことになる。 私たちはこの気候の非常事態に立ち向かうために、二酸化炭素の排出量を削減するかゼロにする必要がある。森林が再生する際に大気中から大量の二酸化炭素を除去するのを促進するために、巨大な森林再生プロジェクトを立ち上げなければならない」とインタビューで答えた。 他方、21日付アジェンシア・ブラジルなどによれば、連邦政府は森林火災に関する環境政策を一変し、気候変動を遅らせるべく努力中だ。マリーナ・シルヴァ環境相はリオ市でのG20社会サミット準備会で、「保護区創設、先住民居住区の境界設定、金の不法採掘との闘い再開で昨年の森林伐採は半減。今年も45%削減してきたが、ブラジルや地球にも破壊的な影響を与える異常気象と犯罪者による放火という状況に直面している」と語った。 環境省森林破壊管理・領土環境計画局のアンドレ・リマ長官は、アマゾン地域で起きている森林火災の一部は、異常な気象現象と、不法伐採と闘うために政府が採用した措置に対抗するという政治的な意味合いを持った犯罪行為によって悪化したとの見解を述べている。また、20日現在の国内の火災は約20万件で、連警は85件の捜査を展開中だ。 また、パラー連邦大学アマゾン家族農研究所は、火災の半数以上が起きているアマゾン地域では現在も伐採プロセス完了のために火を使っていると警告。このような伐採・放火は先住民居住地や保護区に指定されていない公有地での不法な開墾作業でも多発しており、侵略者への相次ぐ恩赦も被害を大きくしているという。研究では用途未指定の公有地では20年以上にわたり、森林伐採が拡大していることが判明しており、土地所有権主張のための森林破壊を食い止め、土地収奪と闘うための森林火災対策が必要だとされている。