「SMAPの再結成はない」の根拠に木村拓哉“妻” 9年前と比べ彼女の役割に大きな変化
解散騒動での工藤の影
2016年1月上旬までには中居、稲垣、草なぎ、香取も飯島氏の後を追って退所する決意を固めた。しかし、木村は残留を選択する。メンバー5人全員がそろっての退所なら、移籍を受け入れる大手事務所があったが、その話は流れた。 身動きが取れなくなった中居ら4人も旧ジャニーズ事務所に残留することになる。2016年1月18日にはフジテレビ「SMAP×SMAP」で木村以外の4人の謝罪が放送された。いわゆる公開処刑である。メリー氏の意向だった。 木村が残留を決めたのは、工藤の意見を酌み取ったというのが定説だ。工藤は「残ってほしい」などと木村に伝えた。工藤は飯島氏との付き合いはほとんどなかったが、一方でメリー氏にはかわいがられていた。 2000年に発覚した木村と工藤の交際、さらに結婚を許したのもメリー氏である。交際と結婚について、許す、許さないなどないはずなのだが、当時の同事務所ではメリー氏のお墨付きが不可欠だった。このため、当時の工藤は「メリーさんを裏切るようなことはできない」などと語っていたという。 結局は解散も移籍もなかったものの、木村と他の 4人には軋轢が生まれた。その後も関係は修復されなかった。同事務所もSMAPのマネージメントへの意欲を失っていたため、2016年12月31日に解散する。
再結成説には根拠がない
前出の大手芸能事務所幹部は、中居、稲垣、草なぎ、香取たちがメリー氏に憤りを感じていたと振り返る。 「解散コンサートすらやらせてもらえませんでしたから。支えてくれたファンたちに『さよなら』『ありがとう』を直接言わせなかったのは公開処刑並みの仕打ち」(前出・大手芸能事務所幹部) その上、退所後の稲垣、草なぎ、香取はテレビ界から追放状態となり、2019年7月には公正取引委員会が「ジャニーズ事務所テレビ各局に圧力をかけていた疑いがある」として同事務所に注意したことが明らかになる。 当時の同事務所の全権を握っていたのはメリー氏。3人がメリー氏に好印象を抱くのは無理だろう。 ちなみに3人は退所後、メリー氏について口にしたことは1度としてない。 メリー氏と近く、同調していた工藤に対する3人の思いも複雑に違いない。木村が同事務所からの退所を考えなかった背後にも工藤の存在があったのだから、余計に歩み寄る気持ちにはなりにくいのではないか。 一方、工藤側もほかの元メンバーたちに、積極的に近づこうとするとは考えにくい。自分と木村にとってメリー氏は恩ある人。その意向に従っただけで、木村は今も世間から「裏切り者」などと言われるのだから。工藤にしてみたら、裏切り者はほかの4人かも知れない。 木村と残る4人のメンバーの間には今も溝がある。さらに工藤の存在もある。そもそもメンバーは誰一人として、再結成を望む言葉を発したことがない。「SMAPの再結成はない」という考え方が芸能界で支配的になるのは自然な流れなのだ。 工藤が木村の事実上のプロデューサー、マネージャーなら、木村はいっそ独立すべきだとも思うが、木村の場合はスタート社にとどまったほうが、プラスが大きいという。 「芸能人の独立問題を考えるとき、抜け落ちてしまいがちなのは会社運営費。事務所を借りたら、家賃が月50万円以上かかる。事務員、経理担当者、付き人、運転手らも雇わなくてはならず、人件費も月200万円前後は必要。仕事がない時期も支払わなくてはならないから、結構大きい。木村さんの場合はエージェント契約で、スタート社とのギャラの分配率はおそらく7対3前後だから、収入面や会社運営の手間を考えると、独立しないほうがいい。最近、独立組が増えていますが、ほとんどはギャラの分配率が低いマネージメント契約組なのです」(同・大手芸能事務所幹部) 営業とギャラ交渉をスタート社に任せたまま、方向性や具体的な仕事選びについては工藤と一緒に考えるというのが木村にとって一番良いらしい。 高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ) 放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。 デイリー新潮編集部
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