東京五輪の思わぬ余波? 音楽業界を直撃する「2016年問題」
最近よくニュースなどで耳にするワードの一つに「2016年問題」があります。「●●年問題」というと、ミレニアムで話題になった「2000年問題」を思い出す人も多いでしょう。「2000年問題」は、西暦の下2桁で計算されているコンピュータ機器が、「99」から「00」になった瞬間に誤作動を起こす可能性がある、というものでしたが、結果的には大きな被害は起こりませんでした。しかし、いま問題になっているコンサート会場の「2016年問題」はそういうわけにはいかないようです。
日本芸能実演家団体協議会など10芸術団体は11月5日に緊急記者会見を行い、首都圏でコンサート会場が不足している現状を訴えました。 「会場が不足するだけなら地方でコンサートをすればいいのでは?」と思うかもしれませんが、事はそう簡単ではありません。なぜなら、日本のコンサート市場の50%近くが首都圏に集中しているからなのです。 なぜこのタイミングで会場が不足してしまうのか。それには、2020年に開催予定の東京五輪・パラリンピックに合わせて改修しようという動きがあり、大きな影響を及ぼしているのです。 建設費の問題が発生した国立競技場をはじめ、多くの大型コンサート会場が改修・建て替え・閉鎖などの状態にあり、「客席」が激減しているのです。ここ10年で失われた座席数は2万5000席と試算されていて、これから横浜アリーナ、さいたまスーパーアリーナという超大型会場も建て替えのため一時閉鎖されます。 ざっと見てみると、 ・東京厚生年金会館(2010年閉鎖) ・横浜BLITZ(2013年閉鎖) ・SHIBUYA-AX(2014年閉鎖) ・日本青年館(2015年閉鎖→2017年夏移設予定) ・渋谷公会堂(2015年閉鎖→2018年再開予定) ・横浜アリーナ(2016年1月~6月改修予定) ・さいたまスーパーアリーナ(2016年2月~5月改修予定) ・東京国際フォーラム(2016年から2017年にかけて順次改修予定) などが稼働していない、ないし稼働しなくなります。さらに代々木第一体育館や日本武道館も改修予定です。