なぜ? 「コンドーム」の使用、ヨーロッパの青少年の間では3分の1未満に。避妊策をとらない"危険な性交渉"に対してWHOが警告か
現在国内で20~50代の男性、20代の女性でもっとも流行している梅毒。厚生労働省によると、感染を防ぐには適切にコンドームを使用するのが第一※とのこと。またWHO(世界保健機関)もコンドームを正しく継続的に使用すれば、HIVを含む性感染症に対する最も効果的な予防法のひとつとなると発表している。 【写真】マドンナやビリー・アイリッシュが反論! 米最高裁の「中絶の権利」を覆す判決に声を上げた海外セレブ15人 しかし先日WHO欧州地域事務局が発表した報告書では、ヨーロッパ全土の青少年の間でコンドームの使用が大幅に減少していることが明らかとなった。 ※コンドームで覆えない部分から感染する可能性もあるため、100%予防できると過信はしないようにし、皮膚や粘膜に異常を感じた場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
青少年の間でコンドームの使用が減少
青少年のコンドームの使用が驚くほど減少し、性感染症や意図しない妊娠のリスクが高まっていると報告したWHO欧州地域事務局。同データは、2014年から2022年にかけて42カ国と地域の15歳、24万2,000人以上を対象に行われた「青少年の健康行動(HBSC)」研究の一環として発表されたものであるとのこと。 性的に活発な15歳の多くが無防備な性交渉を行っており、意図しない妊娠や安全でない中絶、性感染症のリスクの増加など、若者にとって深刻な結果をもたらす可能性があるとWHOは警告している。 実際に青少年のほぼ3分の1(30%)が、最後の性交時にコンドームも避妊薬も使用しなかったと報告しており、この数字は2018年からほとんど変わっていないという。また、性的に活発な青少年のうち最後の性交でコンドームを使用した割合は、2014年から2022年の間に男子では70%から61%、女子では63%から57%に減少している。 さらに裕福でない家庭の青少年は、裕福な家庭の同世代の青少年よりも、最後の性交時にコンドームや避妊薬を使用しなかったと報告する傾向が強かったという。
包括的な性教育の必要性
報告書の調査結果に対し、WHOのヨーロッパ地域事務局長であるハンス・ヘンリ・P・クルージ博士は、「調査結果には非常に落胆させられますが、驚くべきことではありません」とコメント。 「年齢相応の包括的な性教育は多くの国で軽視され続けており、近年は“性行動を助長する”という誤った認識から非難の的となっています。しかし若い人たちに正しい知識を適切な時期に与えることが、責任ある行動と選択につながり、最良の健康結果をもたらすのです」 またアイルランド出身のエーバさん(16歳)も、「ティーンエイジャーとして、性の健康についての正確な情報にアクセスできるかどうかはとても重要なこと」と語っており、「性的同意から避妊までのすべてを網羅する教育が必要。そうすれば十分な情報を得た上で決断を下し、自分自身を守ることができる」と指摘している。
今後の対応は
メディアでも性に関する情報が多く取り上げられており、幼い頃からプライベートゾーンの守り方を教える重要性なども広がっている昨今。しかし日本ではまだまだ性教育が足りていないため、すべての人が性に関する正しい情報を得られるのはもちろん、避妊法や対処法へのアクセスがしやすくなることも求められている。
Harper's BAZAAR JP