「ラーメン」が欧米でファッション化、イタリア超富裕層向けリゾートのディナーにも
オーストラリアの「和牛」飼養頭数、20万頭
ところで初めてオーストラリアに和牛の遺伝子がもたらされたのは、1990年のことだという。その飼養頭数は、いまや約20万頭となり、輸出量は日本からの和牛輸出量に比べて約10倍にまで膨れ上がっている。いま日本の黒毛和牛が市場で勝つには、明確な差別化と、超富裕層向けの尖った戦略が求められるだろう。豪州産和牛は破格に安く、ランプ肉でいえば、日本産の和牛に比べ価格が3分の1だからだ*。普通のレストランなら利が乗る方を選ぶ。*『肉畜会報』92, 2020年調べ ただ注目したいのは、こうした「RAMEN」や「WAGYU」を通して、海外のひとびとがどんなイメージを抱くのかということだ。 ファッションデザイナーのヴィクトリア・ベッカムは、訪日したとき、滞在中に一家でラーメンを食べたことを世界に向けて発信している(夫はあの元サッカー選手のベッカムである)。ヴィクトリアは、スチームした野菜と魚しか口にせず、夫のベッカムにすっぴん眉を見せないという完璧主義者である。実はキム・カーダシアンやリアーナも、"日本でラーメン食べた"アピールをしている。 彼女たちの脳裏にある「RAMEN」は、私たちのイメージとは異なる、なにかファッショナブルなものなのだ。それはヨーロッパの高級リゾート地のディナーのような、私たちの想像が及ばないところから派生しているのである。 事実、いま訪日客の年齢と客単価は、飛躍的に向上しつつある。2023年の訪日外国人旅行消費額は、約5.3兆円と、過去最高を記録した。私たちの知らないところで、アニメやマンガとはまた異なる角度から、日本のイメージが創られているということも要因だ。これから若年層が大半を占めていた訪日観光客の比率は、徐々に変わっていくのだろう。
長谷川悠里