染谷将太、大河ドラマ『麒麟がくる』織田信長役への反響に「“ここから挽回できるのか俺?”と思っていました」
放送中には、『麒麟がくる』織田信長への批判も
――比呂人のことを周囲の人たちは恐れていましたが、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』で演じた織田信長も、部下や視聴者が思わず怯えるような存在でした。当初は、今までにない信長像を演じられることに対して批判的な声もあったようですが、ご自身で当時どのように受け止めていたのでしょうか。 「制作発表の時は、まだマスコミの方にも出演者の情報は知らされていなかったんです。みなさんが席についてからプレスリリースが配られた瞬間に、若干、取材に来てくださった方たちがざわつきまして(笑)。多くの方が“想像と全然違ったぞ”というリアクションだったんです。一応、作品の意図や、自分がやらせてもらう意図としては“これまでとは全く違う信長像”というものを大前提としていたので、予想通りといえば予想通りのリアクションでした」 ――『麒麟がくる』の信長には「哀しき覇王」というキャッチコピーがついていましたが、初期の頃はまだそのような片鱗はみえていなかったですよね。 「信長が登場する最初の頃は、海で地元の人たちと一緒に漁を楽しむ一人の青年としてしか描かれてないんです。それも展開のひとつの意図としてやっていたのですが、その放送回の試写を見た方々が“全然信長じゃないじゃないか!”といった反応があると聞いて、こちらも一応“そう来るだろうな”と予想はしていたのですが、実際に聞くと不安でしたし“ここから挽回できるのか俺?”と思っていました (苦笑)」
「従来の信長像」へのギャップの反響は予測していたが……
――やはり染谷さんにも不安な気持ちはあったのですね。 「予想通りでしたが、予想通りになったらなったで、不安はありましたね。なので、ここから頑張って、制作陣が意図としているものをちゃんと表現できないと見ている方の心を動かせられないなと思っていましたし、プレッシャーではありました」 ――最初の頃には、割と酷評めいた声もあったようですが、それを一蹴する好演でした。放送が終わってからのご自身の実感としてはいかがでしたか。 「一人の人生をやりきった感じがしました。 海の近くで育った一人の青年が魔王と化して、のちの天下人になるまで変化していく。その生き様を演じるということはとてもやりがいを感じていました。 池端俊策先生の書かれた脚本が素晴らしかったですし、信長の年の取り方や扮装の見せ方、どういった演出をつけていくかということを演出チーム、スタッフの皆さん全員で作ってくださったので、一緒に信長というひとりの人間の人物像を作れたことは、自分にとってもすごくいい経験でした」 染谷さんにとって、「麒麟がくる」(2020年)以来、5回目の大河ドラマ出演となる2025年放送のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」では、浮世絵師・喜多川歌麿を演じる。「美人画の天才」と呼ばれた歌麿を、「演技の天才」はどう演じてみせてくれるのか。期待が高まる。 取材・文/根津香菜子 ヘアメイク/光野ひとみ、スタイリング/林道雄 そめたに・しょうた 1992年9月3日、東京都生まれ。9歳のときに『STACY』で映画デビューし、数々の作品に出演。2011年には映画『ヒミズ』で第68回ヴェネツィア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞。近年の主な出演作品にドラマ『風間公親-教場0-』、『CODE―願いの代償―』、映画『陰陽師0』、『違国日記』、『若き見知らぬ者たち』などがあるほか、待機作に、映画『はたらく細胞』(12月13日)、『聖☆おにいさん THE MOVIE ~ホーリーメンVS悪魔軍団~』(12月20日)が控える。 根津香菜子
根津香菜子