イエレン財務長官訪問で米中関係改善が進展-輸出巡る厳しい批判でも
(ブルームバーグ): 中国を訪問中のイエレン米財務長官は5日、中国の過剰生産能力を非難することに多くの時間を費やした。その後、同日夜には何立峰副首相と共に広東省広州市を流れる珠江で遊覧船でのクルーズを過ごした。同席した関係者2人によれば、イエレン、何両氏はプレゼントを交換した。
日中には強腰のレトリックで臨み、夜には打ち解けた時間を共有するというコントラストは、イエレン長官に課せられた幅広い外交的タスクを物語る。イエレン氏の訪中は過去9カ月で2回目で、財務長官としては最後の訪問となる可能性が大きい。
北京に移動したイエレン長官は7日、李強首相の歓迎を受けた。8日には中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁と会談後、記者会見して訪問を締めくくる。
今回の訪中には、イエレン長官が苦心して築いた中国指導部との個人的関係強化を図る面がある。同時に、こうした関係を試そうとする意向も感じられる。
長官は中国が安価な物品で世界の市場を席巻しているとして同国当局者を非難するとともに、米企業が中国で「不公正」な扱いを受けていると批判。さらに、ウクライナでのロシアの戦争を支援している中国企業は「重大な結果」に直面すると鋭く警告した。
イエレン長官は在中国米国商工会議所主催のイベントで、「輸出拡大を通じて急成長を目指すには中国は大き過ぎる」と語り、同国の巨大な工場群は「世界の市場が耐えることができる」よりも多くの生産を行っていると指摘した。
中国側はこれに対し、同国企業は価格競争力のない先進国によってペナルティーを科されていると反論し、米国の補助金を巡り世界貿易機関(WTO)に提訴している。李首相は7日、イエレン長官との会談で経済・貿易問題を政治問題化しないよう期待を表明した。
長官はかつて、中国のWTO加盟を受け入れ、中国が安価な物品を世界的に輸出して何百万人をも貧困から脱却させることに扉を開いた経済的コンセンサスに賛同した1人だった。