映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」前章の完成披露試写会舞台挨の様子。左から、あの、幾田りら、浅野いにお。

映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」前章の完成披露試写会舞台挨拶が本日2月26日に東京・有楽町朝日ホールで行われ、主演を務めた幾田りら（YOASOBI / ikura）、あの（ano）が登壇した。 【写真】左からあの、イソベやん、幾田りら 浅野いにおのマンガをもとにした本作は、東京上空に巨大な宇宙船が突如襲来した世界を舞台にした“ディストピア青春日常譚”。絶望的に思えた異常事態も次第に日常へ溶け込んでいく中で、日々の青春を謳歌する少女たちの姿が描かれる。ダブル主演の幾田が小山門出、あのが“おんたん”こと中川凰蘭に声を当てた。 拍手に迎えられ、幾田とあの、そして2人にエスコートされたイソベやんが登場。なにやらもぞもぞしたかと思えば、中から原作者の浅野が現れ、すかさずあのから「変な登場の仕方」とツッコミが入る。浅野は2人のキャスティング経緯に触れ、「何人かいる中にあのちゃんがいたんですが、テストしてもらったら現場の空気が一変して。その段階で僕の中では確定でした」と振り返り、「門出は普通の女の子なので、人選はそんなに難しくないと思っていたんです。でも普通でありながらあのちゃんの横に並んでバランスがいい人を見つけるのが難しくて。その中でプロデューサーさんに幾田さんの名前を出していただいて。この2人の絵面を見てもらえばわかると思うんですけど、この組み合わせ以上のものはない、ばっちりなんですよ。なので、原作者がどうしても懇願してますと申し添えを付けて、お願いしました」と思い入れたっぷりに伝えた。 幾田は「門出という子は、それぞれの人に対して接し方が違ったり、心の中で思っていることはあるんだけれども、口に出したときは別の言葉になっていたり。だから本当の感情が見えるようなしゃべり方を探していくのが難しかったんです。自分の中でそこに向き合って、声を入れさせてもらいました」と述懐。あのは「おんたんは、テンションがめっちゃ高いキャラクターなので、ただうるさいだけにならないように、抑揚の付け方とかを意識して。いろんな感情が入り混じっているので、そこを汲み取りながら発声できるようにしました」と明かした。 これを横で聞いていた浅野は「2年ぐらい前からオーディションをやってたんです。すごく恵まれたキャスティングで。だって2人とも紅白出てるんですよ！ あのちゃんは当時から有名でしたけど、ここまで有名になるとは。YOASOBIもあんなに有名になって、すごいと思いませんか!? 同じ業種の人に『どうやってこんなキャスティングできるの？』って聞かれるらしいです」と誇らしげに語る。 ＜ano feat. 幾田りら＞による「絶絶絶絶対聖域」が前章、＜幾田りら feat. ano＞による「青春謳歌」が後章の主題歌となっている本作。あのは「『feat. 幾田りら』ってことで、普段聞けないワードや歌声が聴きたいなと。僕はデスボとかシャウトを使うのでそれを幾田りらにやらせたいと思いました。寝る時間も削って、白目剥きながら書いたのですっごい思い入れがあります」と述べる。一方の幾田が「私自身が原作を読み終えたときに、どんな音楽が流れてきてほしいかなってすごく考えて。おんたんと門出のくだらない日常会話が聞こえてくるような曲が読者としてほしいと思ったんです。その思いをもとにあのちゃんの声をイメージしながら歌詞を書きました」と話すと、あのは「いつ聴いても心地いい。家でも口ずさんじゃってますね。歌っても楽しい、素敵な曲です」と太鼓判を押す。幾田は「あのちゃんと私の会話を曲の中に入れたいなと思ったんです。だから音楽番組で会ったときに『ちょっと時間もらっていい？』って声掛けて。『明日世界が終わるなら何したい？』といった内容を楽曲の中に盛り込んでます。よーく聞いたら会話がわかるかもしれないです」と笑みをこぼした。 最後に幾田は「本当に“クソやばい”映画になっております。楽しんでください」と、あのは「とても、皆さんの反応が楽しみです。後章ものちのち観てください」と呼びかける。そして「ちょっと長くなります」と前置きした浅野は「足掛け5、6年。アニメーション作業を続けてきました。なかなか原作者と映像化というものの関係性は難しいもので、なるべくノータッチであればいいなと思っていたんですが、ふたを開けてみると、コンセプト会議、脚本会議、配役、アフレコなど、すべて結局関わってきてしまう状態でした。最後まで作業しているのは作画の部分なんですが、なかなか厳しい状態になっていまして。実際、前章だけで100、200カットぐらいリテイクをお願いしています。僕自身、一部のリテイクが難しい部分は直接レタッチをしたり、場所によっては0から描いている部分もあります。そんなふうにアニメーション作業に片足以上踏み込んでしまった身分から言わせてもらいますと、限られたリソースの中で、クオリティの高いものを作るのはかなり難しいんだなと実感しました。今日は完成披露試写会と銘打っていますが、実はまだリテイク作業が進んでいて、本公開までけっこう重要なシーンが差し代わる予定になっています。そんな中、制作チームはものすごく尽力してくれていますし、僕もやれることはすべてやっています、というか今もやっています。そういう状況であるということは、ご留意して、ご覧になっていただければと思います」と口にし、「最後に一言だけ。マンガ原作の映像化というのは本当にいろんなことがあります。でもこれはお祭りですから、どうか楽しんで帰ってください」と願いを込め、イベントの幕を引いた。 黒川智之が監督した「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」前章は3月22日、後章は4月19日より全国でロードショー。 (c)浅野いにお／小学館／DeDeDeDe Committee