俳優・平泉成、想いのシャッターチャンス逃さずに ケーキが契機!? 80歳で映画初主演「明日を綴る写真館」
その笑顔に圧倒的な人間力を感じる。俳優キャリア60年の名脇役だが、80歳にして初主演となる映画「明日を綴る写真館」(秋山純監督)が7日から全国公開される。いつもとは違う初の大役への責任感とともに、現場のぬくもりが伝わってくる。 【写真】言葉の端々に感性の若さがにじみ出る平泉成 「何もかもが違いますよね。責任もそれだけ大きいものがかかってきます。芝居も誰かに合わせるのではなく、自分が芯をやるためには、自分のハートの中にちゃんと芯がないとダメ。そういう責任感も含め、全然違います。でも、みんなが中心に置いてやってくれるんですから、こんなに楽しいことはないですよ。もう100倍くらい楽しかったですね」 物語は、寂れた写真館を営む無口なカメラマン・鮫島(平泉)と、鮫島の写真に心を奪われ弟子入りする気鋭カメラマン・太一(佐野晶哉)を中心に、人々が抱える悩みや想いと向き合いながら、やがて世代を超え、過去と未来がつなぎ合わさっていく。 映画の中でカメラを持つ手がとてもなじんでいるのでカメラ歴をたずねると、「45年ぐらい前ですかね。一眼レフのフィルムのキャメラをいじってまして。でも1回やめました」と返ってきた。 そもそもカメラを始めたのは、日本が誇るファッションフォトグラファーの吉田大朋氏(1934~2017年)と、なじみの飲み屋で出会い、「あなたの発想で、あなたの目線で写真を撮ってください」と言われたことから、一眼レフカメラを買ったのがきっかけだった。 しかし、それもつかの間、特別撮りたいものがなくなってしまう。そこで望遠レンズを持って、外に出たところ、プロのカメラマンが外国人モデルを撮影している現場を後ろから撮影したらにらまれ、ゴミ箱をあさるおじさんに妙にひかれてシャッターを押したら目が合って逃げ出すなど、反省の日々。 ケーキが契機!? 結局、「俺は特別なものは見えていないから、じゃあやめよう」とカメラ一式を手放したのだ。 そして、子供が生まれてしばらくたつと、「子供を撮りたくて、またやり始めたんですよ。今度はデジカメですけど」。