解説:英次期首相のスターマー氏ってどんな人?分裂した党をまとめ政権交代へ
英国で14年ぶりの政権交代が実現する。単独過半数を獲得した労働党のキア・スターマー党首(61)とはどのような人物なのか。また新たなスターマー政権は、どのような政権になるのだろうか。 スターマー英次期首相 「あなたが投票して初めて、変化は起こる」 ロイター 英国経済担当 アリステア・スマウト記者 欧州で多くの国が右傾化する中、英国ではキア・スターマー氏率いる中道左派政党の労働党が14年ぶりに政権に就く見通しだ。まずはこれまでの経緯を振り返ろう。 <左派の家系> スターマー氏は左派一家の出身で、労働党の創設者キア・ハーディーと同じ名前を付けられた。 スターマー氏が政界に足を踏み入れたのは、弁護士として成功した後、50代になってからである。 <党の再生、そして政権与党へ> スターマー氏は2020年に党首に就任したが、決して順風満帆だったわけではない。 就任時、反ユダヤ主義を巡る論争で党内は分裂していた。前年の総選挙での敗北は、党に非常に大きなダメージを与え、コービン前党首は引責辞任した。 コービン前党首 「私は今後一切の総選挙で党を率いるつもりはない」 だが今やスターマー氏は政権を率いる立場に立った。その理由の一部は、ジョンソン首相やトラス首相の辞任によって保守党の命運が尽きたことに関係している。またスターマー氏が行った党内改革で、規律意識を植え付けたことも要因の一つだ。 <労働党政権はどのようなものになるのか> 労働党が政権を握った今、スターマー氏は労働組合や党内左派の一部から、もう少し大胆になって本当の意味での変化をもたらすよう圧力を受ける可能性がある。 スターマー氏は魔法の杖はないと言うが、成長をもたらし、公共サービスにもう少し投資できるようになることを期待している。 保守党は、労働党はさらなる増税を発表しなければならないと主張するスターマー氏はこれを否定している。 経済成長が十分に公的財政の改善をもたらし、労働党政権が支出を増やすために必要な資金をもたらすとの見方を示している。だがその成長が見られなければ、スターマー氏の蜜月期間は非常に短いものになるかもしれない。