高齢者向けの嚥下困難者用食品「ふんわりなめらかこうや」

　旭松食品（本店・長野県飯田市駄科、木下博隆社長）は、徳島大学医学部医科栄養学科の二川健教授グループとの共同研究で、高野豆腐のタンパク質が筋肉の維持に役立つ可能性が示されたと発表した。 　寝たきりや宇宙飛行など筋肉を使わない状態が長く続くと、筋肉が萎縮し、身体機能が低下してしまう。筋肉の減少はアトロジン―1などの筋肉を分解する遺伝子の発現が活性化することで引き起こされる。 　これまでの二川教授グループの研究で、大豆タンパク質の摂取が筋萎縮を抑制する効果があると分かっており、今回の共同研究では大豆タンパク質を豊富に含む高野豆腐にも筋萎縮抑制効果があるか、マウスで動物試験をした。 　寝たきりのモデルとして座骨神経を切除し、動物性タンパク質のカゼイン、大豆タンパク質、高野豆腐タンパク質を与え、各遺伝子の発現量を比較した。 　座骨神経切除により筋肉を壊すアトロジン―1が増加したが、カゼインに比べ、大豆と高野豆腐の方が同遺伝子の増加を3分の1程度まで抑えられ、高野豆腐は大豆とほぼ同等の効果があることが示されたという。 　高野豆腐は鉄やカルシウムなどのミネラルも豊富で、過去の研究ではコレステロールを抑え、健康機能性は日本人だけでなく世界で普遍的に効く可能性が示されてきた。 　同社の石黒貴寛副主任研究員は「今回の研究で、宇宙での長期活動や寝たきりなどによる筋萎縮を防ぎ、フレイル予防に役立つ可能性も示された」と話す。 　同社では大豆の医療介護食も手掛け、高齢者向けの嚥下困難者用食品「ふんわりなめらかこうや」を発売しており、調理の必要がなく袋を開けただけで食べられる高野豆腐「こうやシリアル」を新規に開発している。石黒さんは「研究をさらに進め、時短など時代に合わせた食べやすい商品を開発していきたい」と話した。