松本人志不在の影響はあるか? フジテレビ特番枠『土プレ』で“再利用”や“焼き直し”企画が続く背景
フジテレビ土曜21・22時台の歴史
フジテレビの土曜21・22時台は1980年代から主に映画を扱った『ゴールデン洋画劇場』『ゴールデンシアター』が長年放送されたあと、2003年秋に総合特番枠として『プレミアムステージ』がスタート。2006年春に名称が『土曜プレミアム』に変更されましたが、すでに総合特番枠としての放送期間は20年を超えています。 そのジャンルはバラエティ、ドキュメンタリー、映画、スペシャルドラマ、音楽、スポーツなど多彩。幅広い層の視聴者が集まる土曜ゴールデン・プライムタイムだけに、各ジャンルから厳選した企画を放送していますが、このところバラエティはこれといった新たなヒット企画を生み出せていません。 松本さん絡みの特番以外では『イタズラジャーニー』(土曜18時30分)、『トークィーンズ』(木曜23時)がレギュラー化されたものの、放送時間帯はゴールデン・プライムタイムではありませんでした。 ここ1年程度を振り返っても、『オドオド×ハラハラ』(木曜21時)がレギュラー化されましたが、先日わずか1年での終了が報じられたばかり。その他では『中居正広の芸能人!お友達呼んで来ましたグランプリ』『上田晋也のトーク検定』が2度放送されましたが、まだ話題性も含めて思うような結果を得られていない感があります。 その背景には、特番に限らず現在の視聴者が新規の番組を受け入れられづらくなっていることに加えて、短いネット動画の普及で2時間10分という放送時間が難しくなり、制作費減少という問題などもあります。直近2週の『BABA抜き最弱王決定戦』と『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』、さらに『ハモネプリーグ』などのように、一定の視聴者層が見込めそうで長時間放送の実績がある既存企画を探すのは自然な流れでしょう。
斬新さがウケた『まっちゃんねる』
次に、『土曜プレミアム』に松本さん不在の影響はあるのか。 実際のところ、「ある」とも「ない」とも言いづらいところがあります。 まず活動休止によって2月3日に放送された『IPPONグランプリ』は「チェアマン不在」という危機的状況となる中、“チェアマン代理”を務めたのはバカリズムさん。自身、大喜利の達人で特番の象徴だった松本さんの不在によって注目度こそ上がったものの、バカリズムさんはトップ出場者として視聴者に人気があっただけに不満の声が散見されました。 しかし、その他の特番を見ていくと、『まつもtoなかい~マッチングな夜~』は2023年4月からレギュラー化されて『土曜プレミアム』では放送なし。『まっちゃんねる』は2022年2月以降放送なし、『人志松本のすべらない話』は2022年1月以降放送なし、『HEY!HEY!NEO! MUSIC CHAMP』は2021年4月以降放送なしであり、『土曜プレミアム』における松本さんの影響力は限定的になっていました。 その結果、『土曜プレミアム』のバラエティ特番は存在感が薄れている感は否めません。松本さんの特番はネット上の反響が大きく、『すべらない話』はエピソードごとに感想が語られ、『まつもtoなかい』は斬新なマッチングで注目を集め、『HEY!HEY!NEO!』は往年のファンが盛り上がっていました。 さらに『まっちゃんねる』は「女子メンタル」「イケメンタル」「IPPON女子グランプリ」などの斬新な企画が称賛を集めるなど、Xのトレンドワードを席巻。当時は「『土曜プレミアム』が面白くなった」などとお笑い好きからの支持を集めていましたが、ここ2年あまりこれらの状況はほとんど起きていません。