米国の電気自動車補助金廃止迫る…現代自動車、ハイブリッドに力入れる
トランプ次期米大統領の政権移行チームが電気自動車購入補助金廃止を推進するというニュースが伝えられ、現代(ヒョンデ)自動車と起亜(キア)が米国での車種別生産比率の検討に着手した。 ロイターが政権移行チーム内部文書を入手して伝えたところによると、第2次トランプ政権は最大7500ドル(約115万円)に達する電気自動車税金控除を廃止する予定だ。17日に産業通商資源部の安徳根(アン・ドックン)長官主宰で開いた官民合同実体経済非常戦略会議でもこれに対する対策が話し合われたという。 この会議には韓国自動車モビリティ産業協会関係者が参加し、現代自動車グループなど韓国の業界の意見を伝えた。 現代自動車グループは当初、来年初めの竣工式を控えたジョージア州東部の新工場「メタプラント」を電気自動車専用生産基地として運営する計画だった。 だが電気自動車の需要停滞とともに補助金廃止という難関が生じた。ブルームバーグなどは税額控除が廃止されれば米国内の電気自動車販売台数が年31万台減ると分析した。これは四半期分の販売台数に匹敵する量だ。米自動車専門メディアのオートモーティブニュースは電気自動車販売に打撃を受けると予想されるメーカーとしてゼネラルモーターズ(GM)と現代自動車を挙げた。 現代自動車グループは「柔軟な対応」に向け準備してきたという立場だ。現代自動車はジョージア州のメタプラントでハイブリッドカーも生産する方針だ。 現代自動車グローバル政策戦略室のウ・ジョンヨプ室長は先月の米国大統領選挙直後に産業通商資源部主催で開かれた懇談会で、「電気自動車とハイブリッドカーの並行生産比率は市場の状況により変わる」と話した。 現代自動車のホセ・ムニョス最高経営責任者(CEO)も8月の投資家説明会後の会見で、「メタプラント最大生産能力(50万台)の約3分の1までハイブリッドに配分できるだろう」と話していた。 米国市場でハイブリッドカーの人気が高まるのは好材料だ。サムスン証券によると1~10月の米国のハイブリッドカー販売台数は127万1000台で前年同期比34.1%増えた。現代自動車・起亜の10月の販売台数は1年前より64.9%急増した2万1679台だった。ハイブリッドカーシェア1位はトヨタの58%だ。現代自動車・起亜のシェアは11%でホンダの19%、フォードの12%に次いで4位だ。サムスン証券のイム・ウンギョンEVモビリティチーム長は最近の報告書で「(第2次トランプ政権で)エンジン車需要回復に向けた浮揚策が発表されるならば、ハイブリッドカーとエンジン車を生産するトヨタと現代自動車・起亜が恩恵を得られるだろう」と予想した。 ◇マスク氏「テスラは大きな打撃ないだろう」=テスラの株価は連日上昇している。16日のニューヨーク証券市場でもテスラ株価は6%以上上がった。第2次トランプ政権で電気自動車市場停滞よりテスラが受ける影響より自動運転規制緩和にともなうテスラの利益がもっと大きいだろうという市場判断のためだ。ウェドブッシュ証券のダニエル・アイブス氏はCNBCとのインタビューで、「トランプ政権のテスラは自動運転と人工知能(AI)分野で途轍もない勝利者になれる」と予想した。 テスラのイーロン・マスクCEOも「電気自動車補助金縮小にともなう打撃はテスラより他の会社にもっと大きいだろう」としながら状況を楽観している。 その上で75億ドルに達する充電所普及予算まで第2次トランプ政権で減るならばテスラの「スーパーチャージャー」が市場標準になるかもしれないとの見通しも出ている。「スーパーチャージャーならではの充電ネットワークが結局テスラの販売につながるかも知れない」(ニューヨーク・タイムズ)という観測だ。