<フィギュアスケート>羽生結弦「重圧へ挑戦する」
3月26日から29日までさいたまスーパーアリーナで開催されるフィギュアスケートの世界選手権に向け、ソチ五輪男子シングル金メダルの羽生結弦が24日、記者会見を行った。今シーズンを締めくくる大会であり、五輪金メダリストになって初めて出る試合。19歳にして早くも王座に就いた貴公子がこの大会で見据えているターゲットは何か。 「プレッシャーは凄くあります」 羽生は胸の内にある“恐怖心”の一端を包み隠さず言葉にした。 「初めに一番大きなタイトルを初めて取ってしまった。世界選手権よりも大きなタイトルを取ってしまった。やはり、それを背負っていかなければいけないというプレッシャーがあります」 ソチは、まだ若い羽生にとって初めての五輪舞台だった。多くのアスリートが最終目標として掲げるターゲットを10代で制したのは、1948年サンモリッツ大会を制したディック・バトン(米国=18歳202日)以来実に66年ぶり。羽生は、長い歴史の中でも2人しかいない快挙中の快挙を成し遂げたのだ。 普通ならここで燃え尽きてしまってもおかしくないような結果だ。しかし、羽生にはケタ違いのメンタルがあった。金メダル獲得が決定してからわずか1時間後ほどのタイミングで行われたソチ五輪での記者会見でさえ、質問されるのを待つことなく「次は世界選手権がある」と話していたほどだ。 羽生は、「オリンピックの成績だけを見れば追いかけられる立場だと思われるかもしれないけど、僕にとってはまだまだ追いかける方々がたくさんいる」と言い、さらに続けた。「もちろん自分自身も追いかける目標となっている」 男子シングルの五輪金メダリストが五輪と同年の世界選手権に出場するのは、2002年ソルトレークシティー五輪で金メダルを獲得し、その1カ月後の長野での世界選手権に出たアレクセイ・ヤグディン(ロシア)以来実に12年ぶり。五輪に向けて究極の仕上げを施した選手が、わずか1カ月後に同じテンションまで持ち上げていくことがいかに難しいかを物語る事実だ。