医療DXで病院を改革!システム導入で残業44%削減【WBSクロス】
マイナ保険証の利用率が5%台にとどまるなど医療現場でのDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れが課題となっています。こうした中、全国に先駆けてDXを推進し、大きな成果を上げている医療機関を取材しました。 琵琶湖に面する人口およそ14万人の都市、滋賀・草津市。この地域で急性期医療の中核を担っているのが淡海医療センターです。病棟では毎日、看護師が入院患者の体の状態をチェック。血圧を測ると、すぐさま電子カルテに入力し、体温や脈拍、呼吸数などもその場で入力していきます。 すると、患者の血圧などの情報が測定と同時にナースステーションのモニターに表示されます。それを見て看護師長などが患者の状況を把握していきます。 およそ30人の患者がいるこちらの病棟。モニターには、重症度が高い患者順に表示されます。さらに、入院が長期化している患者も順に示してくれます。 「(入院日数が)長い人が一覧で見られる。今まではカルテを開けないと分からなかった」(淡海医療センターの植田佳代子看護師長) 従来は看護師長の頭の中にある患者情報だけで引き継ぎを行っていました。しかし、デジタル化によって重症化しそうな患者の情報を全員に共有でき、早期処置も可能となりました。 「(今までは)CTを撮るにしても、処置するにしても、時機を逸することなく把握し、やるのは難しかった。それが今、誰でもできるようになった」(淡海医療センター心臓血管・心不全センターの和田厚幸センター長)
午前9時半。各病棟の看護師長が集まり、ミーティングが開かれます。8つのモニターを前に話しているのは、入院部屋の空き状況の確認です。 「4Aさん」(司会) 「きょうは厳しい。部屋調整してどこか空けるようにする」(4A病棟師長) 「5Aは明日の入院患者を入れたら部屋はない」(5A病棟師長) モニターでは、青が男性、赤が女性、灰色が空きベッドなど病室の現在の状況が一目でわかります。また各病棟の稼働率もリアルタイムで表示され、どの病棟に入院が可能かすぐ把握できます。 以前は電子カルテを見ながらその都度、各病棟の稼働状況をホワイトボードに書き込んでいたといいます。 「ここに上がっていないけど、すでに(患者が)何件も入っていることも結構あって、電話しても『今(部屋が)埋まりました』とか『もう1件言われている』とか。そういうことでまた違う所を探す」(淡海医療センターの前城公子副看護部長) 淡海医療センターではこの「コマンドセンター」システムを3年前に日本で初めて導入しました。すると2021年度の病床稼働率は94.1%と、コロナ前の2019年度と比べ4.6%向上。現在も高い稼働率を維持し続けています。 このシステムは看護師の働き方改革にも役立っています。モニターには病棟ごとの看護師のスキルや人数、手術の数などを分析し、看護師の仕事量を数値化。赤は忙しさを表しています。 「とても危ないぐらいの忙しさになったとき、すぐに応援の看護師を他の病棟から配置する。コマンドセンターを導入した年度は前年度と比べ44%残業時間が削減した」(淡海医療センターの伊波早苗統括看護部長)