谷川浩司十七世名人「藤井聡太棋聖は25歳までまだまだ強くなる」/将棋
どこまで強くなるのか-。「ヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負」(主催・産経新聞社など、特別協賛・ヒューリック)で5連覇した藤井聡太棋聖(21)の強さついて、谷川浩司十七世名人(62)が語った。35歳で「永世名人」の資格を得て、一昨年に現役のまま襲位。藤井棋聖が最年少となる21歳11カ月で永世称号を獲得したことに「ちょっと破られそうにない記録」といい、「25歳まではまだまだ強くなる」とさらなる進化を断言した。 【写真】日本酒を飲んだ藤井聡太氏「すごく辛くてびっくり」 永世称号はタイトル戦によって規定が違うが、5期は必ず獲得しなければいけない。少なくとも5年はトップ棋士として活躍することが条件になってくる。 藤井棋聖は数々の記録をここまで打ち立てているが、最年少の永世称号の記録は、ちょっと破られそうにない記録。まずプロになって、4年前の17歳11カ月でのタイトル奪取という記録を破ることからスタートしないといけない。いろんな最年少の記録を破っておく必要がある。 永世の称号は防衛している中で出てくる目標の一つ。私の場合は名人4期目が27歳のときで、次防衛すれば永世名人。一つの区切りと、大きな意識はあった。ただ、翌年に中原先生に負けた後は、挑戦者にさえもなかなかなれなかったが、35歳で資格を得ることができた。 21歳で永世の資格を獲得した藤井棋聖の強さは、やはり強くなること、将棋の真理を追求することをずっと貫いているということ。考えることが好きで、答えがなかなか出ないような新しい局面に出会ったときに、その目が輝く。難しいことを考えるのがとにかく好き。そういうことの積み重ねだろう。 最近の若い棋士はAI将棋で、局面を研究していることも強さの一つの要素。ただ、それは他の棋士も条件は同じ。その中で藤井棋聖だけが突出した勝率をあげているのは、プラスアルファ。それは対局のときの集中力、頭脳の体力。1手に1時間集中しても本当に疲れない。相手の手番のときは頭を休めるというのが普通だが、そのときも考えている。 しかも常に過密日程でタイトル戦を戦いながら、さらに強くなっている感じ。アマチュアはもちろん、プロが見ても本当に華やかな手が多い。勝つだけじゃなく、将棋ファンを魅了する将棋を指している。将棋の無限の可能性というのも改めて見せてくれている。