過小評価されている? 目を見張る打撃指標を残した「中日の強打者」は
勝負強さも光る打撃
石川昂弥、村松開人も成長の跡を見せている。来季は定位置獲りへ大事なシーズンとなる。そして、他球団の評価が高い選手が福永裕基だ。今季は開幕を二軍で迎えたが、4月下旬に一軍昇格後は打撃で好調をキープし、スタメンに定着した。111試合出場で打率.306、6本塁打、32打点、9盗塁をマークし、OPSは.789。402打席と規定打席には届かなかったが、細川の.846に次ぐチーム2位の数値だった。得点圏打率.318と勝負強さも光った。 在京球団のスコアラーはこう評する。 「厄介な打者です。直球に強いだけでなく、変化球への対応力も昨年に比べてグッと上がりました。もっと注目されてもいい選手かなと。守備でも一塁、二塁、三塁とさまざまなポジションをこなす。ユーテリティープレーヤーで、打撃も高水準の成績を残す選手は球界全体で見てもなかなかいない。来季はチームの軸になる選手だと思います」
「遅咲きの星」として
福永は苦労人だ。天理高、専大を経て日本新薬ではドラフト候補として注目されたが、指名漏れが続いた。心が折れなかったから今がある。入社4年目で中日からドラフト7位で指名を受けた。勝負強い打撃は、大舞台の都市対抗など「負けたら終わり」の一発勝負を経験したことが糧になっている。 福永は「入社した日本新薬ではプロテインを扱う部署でした。出社日数は……(笑)。シーズン中は週によっては行かない場合もありました。社への貢献として都市対抗は絶好のアピール機会。大勢の方から声援を受ける大舞台です。2年目の2020年からスタメンで出してもらっていました。その年は、東京五輪の影響でプロ野球のドラフト後の開催。指名漏れのあとに2本塁打。また頑張ろうと、自分を成長させてくれて社にも大会にも感謝しています」と振り返っている。 支配下全体で最後の69番目で指名されてから2年。レギュラーに手が届く位置にはい上がってきた。まだまだ発展途上の28歳は「遅咲きの星」として走り続ける。 写真=BBM
週刊ベースボール