電気・ガス代補助終了の一方でガソリン・灯油は継続…なぜ? 10兆円規模、脱炭素に逆行
政府は電気・ガス代を抑える補助金を打ち切る。ただ、原油高や円安を受けたガソリンや灯油などの燃油価格を抑える補助金は5月以降も当面継続する。これらの補助には3年で計10兆円規模の予算が投じられてきた。家計の負担を減らす一方で、国の財政を圧迫してきた実態もある。 【表】「4人家族で1カ月に必要な金額」京都総評の試算と内訳 電気・ガスの補助金は打ち切る一方で、4月末までとしていたガソリン補助金の延長を決めたのは、今後も原油価格は高値圏で推移するとみられるからだ。斎藤健経済産業相も「中東情勢の緊迫化などを背景とした価格高騰リスクや経済情勢を見極めるため」と説明する。 ガソリン補助金は令和4年1月に始まり、レギュラーガソリンの平均小売価格を1リットル当たり175円程度に抑えている。今回の延長も含めて計7回延長されており、3~5年度で計6兆3665億円が予算計上され、6年2月までに約4兆6千億円が支払われた。 5年1月に始まった電気・ガスの補助金で措置された予算も計3兆7490億円に上っており、両補助金を合わせると、予算額はすでに10兆円を超えている。 しかも、今回のガソリン補助金の延長は、期限を設けておらず、巨額の財政負担がさらに積み上がる懸念もある。脱炭素化と逆行するとの批判もあり、斎藤氏も「いつまでも続けるものではない」と指摘。出口戦略の策定も急務といえる。(中村智隆)