Nothing's Carved In Stoneはまだ見ぬ場所へ進んでいく 結成15周年記念日本武道館ライブで確信した強さ
「15年やって、しっかりひとつの生命体になれた」
本編で29曲演奏した4人を、大きな拍手が招き入れたアンコール。村松に「これだけお客さんを集めておいて、何も喋んない気ですか、リーダー!」と煽られた生形が珍しくマイクに向かい、「16年前、下高井戸のドトールで、ひなっち(日向)とふたりで『めちゃくちゃかっこいいバンド作ろうぜ』って始まった」と感慨深げに振り返る。「15年のうちに世のなかはすごく変わって、人と人との付き合いが希薄になってきてると俺は思っていて。俺らは、自分の意志を曲げず、流されず、こうやって一対一の付き合いをしていこうと思うので、これからもNothing’s Carved In Stoneをよろしくお願いします」と語った。 その言葉を受け、「ウルッときたよ」と村松がはにかむ。そして、「僕ら、いろいろ背負ってるものがある4人が集まって、Nothing’s Carved In Stoneという名前をつけて。15年同じ釜の飯を食って、いいことも悪いことも、酸いも甘いも味わってきて……15年やって、しっかりひとつの生命体になれたかなと思っています。こんなに素晴らしいメンバーとバンドができていることに感謝しつつ、生まれ変わって、もっともっと先まで行こうと思っています」と力強く宣言。「ありがとうございました、Nothing’s Carved In Stoneでした!」と叫び、ラストスパートに突入した。 フィナーレとして通算32曲目を飾ったのは、最新曲「Dear Future」。キャッチーなギターリフから、エネルギッシュなドラムとベースがドライブし、ポップなメロディが火をつける。かつてない爆発力を持つ一曲で今のNothing’s Carved In Stoneの揺るぎない意志を示し、メモリアルな夜を締め括った。 終演後のエンドロールが流れる背景にオーディエンスの笑顔が映し出され、多幸感に包まれた武道館。5月15日にニューEPがリリースされることに加え、全国ツアー開催の告知が表示されると、大きな歓声が湧いた。ワーナーミュージック・ジャパンとタッグを組むという決断を経て、まだ見ぬ場所へ――。「次はライブハウスで会いましょう」といういつものメッセージを添えて、ロックバンド・Nothing’s Carved In Stoneは前へと進んでいく。
後藤寛子