【バレー】「まだ終わってない」--宮部藍梨が2年前の全米大学選手権で発した言葉の真意。全日本インカレが27日開幕
ミネソタ大の主力として全米大学選手権で快進撃の立役者に
バレーボールの全日本大学選手権大会(以下、全日本インカレ)が男女とも11月27日に開幕する(28日からトーナメント1回戦がスタート)。大学生にとって集大成となる大舞台へ、選手たちは思いを強くして臨む。2023年度女子日本代表の宮部藍梨もまた、2年前、アメリカの地で国内最大そして大学生活最後のインカレを戦っていた。 【ギャラリー】宮部や柴田真果ら代表の面々も。2023-24シーズンのヴィクトリーナ姫路〔10点〕 ここで勝たなあかんやん!! 宮部藍梨は闘志をむき出しにしてプレーしていた。 2021年12月9日、全米大学選手権(NCAA DIVISION1 Women's Volleyball Championship)は3回戦が争われ、宮部の所属するミネソタ大はベイラー大との一戦に臨んでいた。同年のプレシーズンマッチで敗れていた相手だけに、苦しむことは予想されていた。 試合では第1セットをジュースの末に落とし、第2セットは取り返したものの、第3セットを奪われ、あとがない状況に。それでも第4セットを再びものにし、最終第5セットを制して3-2(26-28,25-22,20-25,25-23,15-10)。なかでも宮部は20得点をマークし、勝利の立役者となった。試合後の会見で、ゲーム中の心境をこのような言葉で表現した。 「We’re not done yet」 まだ終わってない。胸に留めていた思いはただ一つ、それだけだった。
「そこに懸ける思いが違っていた」と宮部
当然、試合であるからには勝ちたい。だが、宮部が振り返るに、それ以上に抱いていたのは「終わりたくない」という願いにも似た感情だった。 「少しでも長く、このチームで、このメンバーとプレーがしたい、って。『勝ちたい』よりも、『勝ち進まないとそれがかなわないから』という感覚だったと思いますね」 全日本インカレと同様に、全米大学選手権も一発勝負のトーナメント。負ければ大学バレーはそこで引退だ。 「それまでずっと苦しいことも一緒に乗り越えてきたメンバーと一緒に戦える最後の試合なので。そこに懸ける思いは、ほかの大会とは違っていたと感じます」 宮部の妹、愛芽世(東海大4年)もまた、今回の全日本インカレが大学生活最後の舞台となる。 「私は転入でミネソタ大に入ったので。妹は一つの大学に4年間通っている分、違うかもしれないですけれど」と宮部。過ごした年月によって、思いの密度は違ってくるかもしれない。それでも、戦う誰もが抱く場面はきっと出てくるはずだ。 終わっていない、そして、終えたくない、と。 そんな思いが交錯する7日間が、幕を開ける。 (文・写真/坂口功将)
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