GT3マシンのタイヤは1セット50万円! レースはとんでもないお金が動くのでファンは魅了されるのです【Key's note】
バブル時代はどうだった?
バブル時代には、タイヤ本数制限などはまったくなく、しかも、今のように走行が土曜日と日曜日の2日間ではなく、ワークスチームは火曜日から走行を繰り返していました。一体どれほどの金額だったのでしょう。それすらも知らずに走っているのですから、やはり狂っているとしか言いようがありませんね。 あいにくタイヤは、新品の状態がもっとも性能が高い。1周走っただけでポイっと捨てて、また新品タイヤを履いて1周で廃棄……、というようなことを繰り返しています。10tトレーラーの荷台に満載したタイヤがみるみる減っていく様子には圧倒されます。
有名なニュルブルクリンク24時間レースは1日約1600万円!
仮にニュルブルクリンク24時間レースに参戦するとなると、GT3マシンは約1時間ごとに給油とタイヤ交換を繰り返しますから、単純計算で24セットを消費します。練習走行や予選を考えれば、30セットは準備しておかねばなりません。10万3500ドル=約1600万円が必要なのです。 繰り返しになりますが、1日で約1600万円です。驚くほどの世界ですよね。タイヤが無償供給されているチームや、あるいは割引されているチームもあるのでしょうが、GT3マシンを走らせる多くのプライベートチームが約1600万円を支払っていることを思うと考えさせられるものがありますね。 僕が今年参戦しているニュルブルクリンク24時間には、トーヨータイヤは500本のレーシングタイヤを準備します。晴れ用のスリックタイヤが250本。雨用のウエットタイヤが250本。トーヨータイヤの仙台工場で製造され、はるばるドイツまで運ばれます。天気は晴れか雨かのどちらですから、スリックタイヤかウエットタイヤは不要となります。 トーヨータイヤの製品はCO2由来のブタジエンゴを配合していますし、転がり抵抗が少ないので環境には貢献しています。とはいえ、驚くほどのタイヤが消耗されていくことには違いはありません。 チーム運営のコストはタイヤの消耗だけではなく、消耗パーツなどを含めると驚くほどの数字になります。ガソリン代とて決して無視できない金額に。ですが、そこを妥協するチームはほとんどありません。というほどに金銭感覚が麻痺してしまうのです。 ただ、そんな華やかな世界だからそこ、多くのファンの方々の熱狂を誘うのかもしれませんね。