当選の報を受け、万歳三唱で喜ぶ津島さん（中）＝28日午前0時19分

　津島淳さん「当確」の速報が28日午前0時過ぎに流れると、青森市の事務所は大きな拍手とともに「良かったあ」という安堵（あんど）の声が漏れた。「政治とカネ」を巡る逆風のあおりを受けた大接戦を勝ち抜き、万歳三唱する支持者らに深々と頭を下げ「大変お待たせをした。ほろ苦い勝利だが勝利には違いない」と喜んだ。 　自身は自民党派閥裏金事件と無関係ながら、1区内も政治不信が漂った。公示日の出陣式で情勢調査にあえて触れ、「横並びのスタートでかつてない厳しさ」と危機感を前面に出した。 　2023年知事選で党県連会長として、前青森市長に決まりかけた推薦を覆し「自主投票」とした判断も尾を引いた。分裂を避ける狙いだったが、支持者の顔触れが前市長と重なるだけに身内からも反発が出た。 　同年には父・雄二元厚相が死去。心強い支援者だった三村申吾前知事の引退も痛手に。選挙のたびに比例代表と入れ替わる「コスタリカ方式」のため、小選挙区の戦いは7年ぶりで後援会幹部の高齢化も進んだ。 　積み重なったほころびが選挙態勢に影を落とした。衆院解散の直前になっても「何の指示も来ない」（青森市議）と出遅れ、序盤から「守りの選挙」（山谷清文1区選対本部長）を余儀なくされた。党所属議員の支持者や企業回りなど、基盤固めに時間を費やした。 　接戦の様相を呈し、党が重点区に指定。石破茂首相が選挙区入りした。津島さんは支持層や無党派層をつなぎ留めるため、「自民党を変える」と訴え、政治不信の払拭に活路を求めた。 　一時は「落選を覚悟」（陣営関係者）するほどの激戦。5期目の扉をこじ開け、津島さんは「第一歩として党を改革し、政治を国民の元に取り戻す真の政治改革を成し遂げることに全力を傾ける」と誓った。