新型クラウン・セダンは新世代のリムジンである! トヨタの思い切ったコンセプトは受け入れられるのか?
フルモデルチェンジしたトヨタの新しい「クラウン」(セダン)について、小川フミオが考えた! 【写真を見る】新型クラウン・セダンなどの内外装、メカニズム(84枚) 期待のエステートも先取りチェック!
思い切ったデザイン
トヨタ自動車が2023年11月13日に発売するという新型クラウン・セダンで興味深い点は、コンセプトそのものだ。トヨタは2023年9月6日に「センチュリー」のSUVバージョンというショファードリブン(運転手つき)前提のモデルを発表している。 斬新なのは、パッケージング。使い勝手を考えて、1805mmもある全高を設定している。かつ2950mmのロングホイールベースを活かして、フルリクライニングできる後席の仕様も設定。クラウン・セダンは、全高こそ1475mmだけれど、センチュリーSUVより長い3000mmのホイールベースを採用した。 理由のひとつは、燃料電池にあるだろう。燃料となる水素のタンクを積まなくてはならないのだ(居住性を考えてのロングホイールベースが先か、水素タンクの収納スペースが先か、今の段階でトヨタの考えは不明)。ただし基本プラットフォームを共用する「MIRAI」のホイールベースは2780mmに抑えられているので、クラウン・セダンは、さらに居住性に振っているとみることができる。 もうひとつ、クラウン・セダンで私が注目したのは、ボディデザイン。ファストバックスタイルは、ずいぶん思い切っている。上屋(キャビン)だけ見ると、新型クラウン・ファミリー第1号の「クラウン・クロスオーバー」に近いデザインコンセプトだ。いずれにしても、従来のリムジンとは無縁のスタイルだ。 「“オーソドックスなセダンはつくりたくない”と、デザイナーのひとたちが考えた」と、クラウン・セダンのプレスリリースに書かれている。 最終的な車型は、販売に全責任を負うトヨタ自身が決めることだから、善し悪しの判断は私には難しい。プロポーションを見ると、Aピラーが極端なほど後退していて、ノーズの長さが強調されているのが大胆、と、感心することはできる。