2023年のマンション市場を総括。新築・中古マンションの価格推移と供給戸数を徹底解説!
2023年の中古マンションの平均価格は首都圏・近畿圏ともに上昇が鈍化
では、2023年の中古マンション市場を見ていこう。東京カンテイでは、70平米換算して平均価格を算出しているのが特徴だ。なお、近畿圏は新築マンションと同じ2府4県だが、エリア別についてはサンプル数の多い2府県の平均価格を算出している。 首都圏の中古マンションの平均価格(70平米換算)は、前年より1.8%アップの4802万円。最も上昇率が高かったのは千葉県の7.9%で、東京23区(3.1%)の上昇率が他県より低いのが、新築マンションと大きく異なる点だ。 東京カンテイによると、東京23区の中でも「都心部」では上昇率が6.3%となり、「堅調なトレンドを示している」という。また、「割安感が強い周辺3県の方が高い上昇率を示すも、前年までの勢いに陰りが認められる」と指摘している。 次に、近畿圏を見ると、中古マンションの平均価格は前年より2.7%アップの2892万円。こちらも新築マンション同様に、「圏域平均をけん引してきた大阪府で強い鈍化が見られる」。また、新築マンション同様に、兵庫県では神戸市で対前年9.4%アップの2634万円となるなど、大阪府とは異なる動きを見せている。 2023年の中古マンション市場は、首都圏・近畿圏ともに、これまで急激に高騰してきた価格の上昇が鈍化し、頭打ちになる可能性を感じさせる市況となっているようだ。 不動産経済研究所では、新築マンションの「2024年の供給予測」も公表している。それによると、首都圏の新築マンションは2023年より10.7%増える見込みで、東京都の市部、神奈川県、埼玉県で供給戸数が大きく増え、近畿圏でも2023年より17.9%増える見込みで、大阪府の市部で大きく増えるという。 新築マンションは、この4月から省エネ性能を見える化した省エネラベルの表示が努力義務となり、2025年4月からは現行の省エネ基準適合が義務化される。省エネ性能の高い新築マンションの供給が進むようになると、中古マンションとの性能の違いが表面化する可能性がある。 これからマンションを購入する場合、新築か中古かは予算や立地などさまざまな条件で選ぶことになると思うが、特に築年の古いマンションについては、購入時にリフォームをして省エネ性を高めることをオススメしたい。 ●関連サイト 不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向2023年(年間のまとめ)」 不動産経済研究所「近畿圏 新築分譲マンション市場動向2023年(年間のまとめ)」 東京カンテイ「『中古マンション70平米価格推移』2023年(年間版)」
山本 久美子