志尊淳、“父親役”で俳優として次なるフェーズへ 『日本一の最低男』で挑む多層的な人物像
放送がはじまったばかりのドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系/以下、『日本一の最低男』)が多方面から熱い視線を集めている。これにはさまざまな理由があるわけだが、そのうちのひとつは志尊淳が二児の父親役を演じていること。彼本人はまだ若いこともあり、本作で見せるこの新たな一面が新鮮な驚きをもって迎えられているようなのである。 【写真】息子に父性あふれる笑顔を向ける志尊淳 本作は、香取慎吾が主演を務める新しいホームドラマ。人生の崖っぷちに追い込まれた“日本一の最低男”・大森一平(香取慎吾)が、義弟の家族と生活をともにするうち、やがて社会を変えていこうと奮闘していくドラマである。 志尊が演じているのは、この義弟の小原正助という人物だ。保育士として働きながら、娘・ひまり(増田梨沙)と息子・朝陽(千葉惣二朗)を育てているシングルファーザーである。笑顔がチャーミングで心優しく、子どもたちの前ではつねに明るく振る舞おうとする性格の持ち主だが、彼がいま置かれているのはとても微妙で複雑な状況。仕事と家事・育児の両立に限界を感じていたために義兄を頼ることになったが、一平は“日本一の最低男”なのだ。不祥事を起こしてテレビ局を追われた彼は、政治家となって社会的に再起すべく、イメージアップのために小原一家を利用しようとしているのである。 正助は一平のお世話になりながら、なんとしても子どもたちを守っていかなければならない。志尊本人の実年齢はまだ29歳だ。つい最近まで学生服を身につけていた印象が強くある彼が、これからどのような父親像を立ち上げていくのか。これは大きな見どころのひとつだろう。しかし本作の主人公は一平なのだから、主演の香取と志尊がどう対峙し、どんな掛け合いを繰り広げていくのかが最大の注目ポイントなのではないだろうか。しかも、娘のひまりは他界してしまった妻・陽菜(向里祐香)とその元夫の間の子だということもある。正助は彼女にたくさんの愛情を注いでいるが、この設定はやがて何かしらの影響を物語に与えることになってくると思う。本作で志尊が表現しなければならない正助とは、じつに多層的なキャラクターなのである。