「イルカ漁などで保留」から2年、伊豆半島ジオパーク世界加盟「再審査」へ
「地質遺産の国際的価値への評価」や「イルカ追い込み漁問題」を理由に世界ネットワークへの加盟が保留となった伊豆半島ジオパーク。2015年11月にジオパークがユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の正規事業となったことを受けて、伊豆半島ジオパーク推進協議会(菊地豊会長)は改めて世界ジオパークへの加盟を申請、7月に現地調査が行われ、今秋、審査が行われる。ユネスコがどのような判断をくだすのか、注目される。
ジオパークは、地球科学的な価値のある遺産を保全し観光や地域の活動に活かしていく世界的な取り組み。グローバルジオパークネットワーク(GGN)が主導していたが、2015年11月からはユネスコの事業として活動が行われている。日本国内では、43地域がジオパークに認定されており、うち北海道・アポイ岳、洞爺湖有珠山、新潟・糸魚川など8地域が世界ジオパークネットワークに加盟している。 伊豆半島ジオパーク推進協議会では、伊豆半島が地球上で唯一、活動的な火山弧が会合していること、火山活動の変化の歴史を辿れる場所であることから、GGNに対して世界ジオパークネットワークへの加盟を申請。2015年6月に現地調査が行われ、同年9月に審査が行われたが結果は保留だった。 伊豆半島ジオパークの世界ネットワーク加盟の取り組みに対して、イルカ追い込み漁をめぐる反対署名がユネスコ事務局長に寄せられ、地質遺産の国際的な価値に対する評価に加え、イルカ追い込み漁問題により加盟が見送られた経緯がある。 伊豆半島ジオパーク推進協議会では、伊豆半島でイルカ漁が2004年まで行われていたことは事実としつつ、「過去に行っていたイルカ漁がジオパークの審査基準に触れる問題とは考えていない」として、2015年12月には、同年11月からジオパークを正規事業としたユネスコに対し、イルカ漁がジオパークの課題と判断された理由を求める書簡を送付したが、回答は寄せられなかったという。 今回の世界ネットワーク加盟申請について伊豆半島ジオパーク推進協議会は、世界ジオパークネットワークがユネスコの活動になったことに伴うもので、ユネスコに対して新規申請をしたものとしている。ただし、前回審査で指摘された「地質遺産の国際的な価値」に関しては、伊豆半島をフィールドにしている国内外の研究者等の見解をさらに充実させて申請書に盛り込んだという。 一方、イルカ漁に関しては、「過去に行われていたものであり、世界ジオパークネットワークの審査基準の対象となるものではない」との判断から、今回の申請においても前回と同じく申請書への記載は行っていないとしている。 現地調査は7月25日から27日にかけて行われ、その後、9月に中国で開催されるアジアパシフィックジオパークネットワークの会議に合わせて開かれるユネスコ世界ジオパーク評議会(UGGC)にて審査が行われる予定で、ユネスコがどのような判断をするのか注目される。