風間俊介「いつもなにか背負っていますよね(笑)」視聴者を戦慄させた坂元裕二作品のセリフ「ごはん、まだかな」
闇を背負う役柄を演じることについて、風間さんはどう考えている?
今回のトム役を筆頭に、風間さんはこれまで、“闇”を浮き彫りにした複雑な胸の内を抱えた役を数多く演じてきた。 「いつもなにか背負っていますよね(笑)。僕自身、考えることがすごく好きなんです。なにかと向き合って紐解いていく、ということがたぶん好きなんだと思います。趣味もそうですし。だからこそ、考えるより先に体が動く熱血漢! みたいな、“あいつ、超イイ奴!”という役が苦手です。むしろ、できない(笑)」 ーーそういう役もやられたことはありますか? 「何度かあります。そもそも、僕自身がやりたい役や向いている役だけを演じて生きていきたくないと思っていますし、僕自身がどう思おうと関係ないのですが……でも苦手な役柄はあります」 ーー苦手な役柄を演じるとき、普段よりもギアを上げたりしているんでしょうか。 「もちろん描きます。だけど、“こういうことでしょ? 少年漫画の主人公みたいでしょ?”という感じになってしまうんです」 だからこそ「なにかを抱えている人間のほうが、自分の肌感覚には合っている」という。そんな風間さんが「明確なターニングポイントとなった作品」と話すのが、脚本家・坂元裕二さんが描き下ろしたドラマ『それでも、生きてゆく』(フジテレビ系)だという。
『それでも、生きてゆく』視聴者を戦慄させたセリフ
同作で風間さんが演じたのは、未成年で瑛太さん演じる主人公の妹を殺害した過去を持ちつつ、満島ひかりさん演じる自分の妹にとっては優しい青年、という二面性が際立つ役どころだ。被害者の兄である瑛太さんが、加害者の風間さんに対して思いの丈を熱くぶつけたあと「ごはん、まだかな」のたった一言をこぼし、瑛太さんを打ちのめすシーンなどに象徴されるように、徹底して良心を排除した、理解しがたい存在として描かれている。 「これまで出演させていただいた作品、すべての作品がなかったらいまの僕はないんですが、特に大きな影響を与えてくれたのは、『それでも、生きてゆく』なんです」 ーーなぜそう思われたのでしょうか。 「シンプルに、連続ドラマから遠ざかっていたなかで久しぶりにレギュラーをやらせてもらえた、というのもありますし、役に没頭できる脚本をいただいたんです。演じていて、わからない・理解できない場面にあたったとき、脚本においてわからないのか、自分の力が足りないのか……というのがわからなくなる瞬間がありますが、この作品ではその“わからない”ということすら楽しかったです」 目の前に壁が現れた瞬間さえも楽しむ風間さん。だから視聴者にとっても、風間さんが演じた人物たちは忘れられない役柄として印象に残り続けるのだろう。 かざま・しゅんすけ 1983年6月17日生まれ、東京都出身。1997年に芸能活動を開始。1999年、ドラマ『3年B組金八先生 第5シリーズ』(TBS系)で演じた兼末健次郎役で話題をさらい、第3回日刊スポーツ・ドラマグランプリ最優秀新人賞を受賞。2011年には『それでも、生きてゆく』(フジテレビ系)で第66回日本放送映画藝術大賞優秀助演男優賞、第70回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演男優賞を受賞し、以降、俳優として唯一無二の地位を築く。昨年12月独立し、現在はフリーランスとして活動。2024年5月1日、ニホンモニターが発表した「役者のドラマ出演数ランキング」(対象期間:令和元年~令和5年)で出演本数200本を記録、6位にランクインした。 有山千春
有山千春