大ヒット中!アニメ映画「ルックバック」の押山清高監督にインタビュー 「絵描きの意志は線に宿る」
公開中のアニメ映画「ルックバック」は口コミで話題を呼び、総動員数100万人を超える大ヒットとなっている。8月中旬、広島市中区で開催された「ひろしまアニメーションシーズン2024」を訪れた押山清高監督は、今作を「絵描き賛歌」と表現。作品に込めた思いをインタビューした。(関連記事にインタビュー詳報あり) 【写真】イベントに参加した押山監督や映画の一場面 人気漫画「チェンソーマン」で知られる漫画家藤本タツキさんの、同名タイトルの漫画が原作。2021年に漫画配信サイト「少年ジャンプ+」で公開された。小学校の学年新聞に4こま漫画を連載して注目を浴びる藤野と、同い年で不登校の京本が出会い、ひたむきに漫画制作と向き合う姿を描いた青春物語だ。押山監督は原作を読んで「机に向かって黙々と絵を描く藤野の背中に共感した」と振り返る。 漫画のような「手描き感」が残る今作は、原画を描くアニメーターたちのタッチがそのまま動画に反映されている。公開後、「アニメーションの新たな表現を切り開いた」と高い評価を得た。「言葉で説明するのではなく、主人公たちの姿が絵を描き続ける理由を体現している作品。絵描きの意志は線に宿るので、絶対生かしたかった」 序盤の転換点となる、自分の才能に自信を取り戻した藤野が雨の中を走るシーンは、押山監督が自ら原画を手がけた。原作では数ページの場面を、約1分半のアニメーションに。「誰にでも報われる瞬間がある。このシーンは観客に共感してもらえるのでは。アニメならではのダイナミズムも表現したかった」 「絵描き」の個性を生かした今作がヒットする一方で、アニメ制作の現場では生成人工知能(AI)の活用が進む現状がある。「ひろしまアニメ―」の関連イベントに登壇した押山監督は、クリエイターを目指す学生たちに「賛歌」を送った。「人間が描く不完全さが、これからの(アニメの)魅力になっていく」
中国新聞社