【大学野球】チームのために献身的に動く柳舘憲吾 急造チームを一つにする存在
実直な人間性の背景
この日、対戦した侍ジャパンU-23代表・川口朋保監督(明大)は、図らずも24人の「選考基準」としてこう言った。 「どうしても控えになる選手が出てくる。短い期間ですけど、チームワークを求めていくには、出る選手だけではなく、控えでサポートできる選手が大切。周囲に配慮できる選手を、丁寧に見極めていきたいと思います」 トップレベルの選手の集まり。だからこそ、柳舘は代表チームにおける立ち位置をこう理解している。 「自チームでは常に出場している選手の集団です。もしかしたら、切り替えができていない人がいるかもしれません。どんなに出場できなくて、悔しくても、チームのために動く姿勢はブレてはダメかな、と思います。自分自身、悔しい気持ちは久しぶりですけど、こうして選ばれて経験できることが幸せです」 実直な人間性の背景には、育ってきた環境にある。日大三高での3年間、国学院大で過ごして4年目となる日々の積み重ねが「柳舘憲吾」という人間を形成してきた。 「自分の取り巻く環境が、一つひとつの行動につながっている。高校、大学を通じて『試合に出られているから良かった』ではなくて、選んで間違いなかったと確信できます。自分に関わっていただいたすべての指導者に感謝したいですし、恵まれていると思います」 急造チームを一つにするには、個々の自覚が必要。献身的に動く柳舘は間違いなく、侍ジャパンのプラスになっている。大学日本代表を指揮する堀井哲也監督(慶大監督)は「今回の国際大会に臨むにあたり、侍ジャパン大学代表として選考基準の柱は、野球の能力はもちろんのこと、国際大会で通用する心身のタフさと日本の学生野球代表にふさわしい立ち居振る舞いの2点です」と強調してきた。柳舘は一流選手であると同時に、学生野球としてあるべきメッセージを発信していく。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール