外国人客、兼六園に首ったけ? 昨年最多53万人が来園 欧米と豪州、コロナ前の1.7倍に
●台湾最多米、伊、豪続く インバウンド(訪日客)の兼六園人気が止まらない。県のまとめによると、昨年1年間に来園した外国人は前年比36・4%増の53万2879人で過去最多となった。11月末時点で新型コロナ前の19年に記録した47万人を超え、初の50万人台に到達。冬場の12月にも3万人が足を運んだ。中でも欧米や豪州は円安を追い風にコロナ前比1・7倍の約22万人と大幅に伸びており、県は季節ごとの魅力発信を強化するなど来園のタイミングを分散させ、さらに誘客を進める方針だ。 【図表】国・地域別の兼六園入園者数 入園者数を国・地域別に見ると、台湾が14万5216人で最も多く、米国5万3633人、イタリア4万908人、豪州3万3721人、中国2万9935人と続いた。 伸びが特に顕著だったのは欧米と豪州で、前年比39・5%増、コロナ前の19年との比較では69・4%増だった。ドイツは前年比43・1%増(19年比103・1%増)で、イタリアは53・0%増(同92・5%増)、スペイン60・8%増(同80・0%増)、フランス42・4%増(同49・4%増)となった。 欧米や豪州の旅行客が石川を訪問先に選ぶのは、円安に加え、首都圏からのアクセスの良さがある。県によると、飛行機で羽田、成田空港に到着してから京都へ向かう際、東海道新幹線ではなく北陸新幹線に乗り、石川に立ち寄るケースが多いという。 県は、開業から約10年たった北陸新幹線が現地旅行会社や観光客に浸透した結果とみており、担当者は「文化の薫りが高い金沢や加賀温泉に足を伸ばすトレンドが定着しつつある」と手応えを示す。食が充実していることも人気の一因という。 ●アジアは回復鈍く 一方、アジアの入園者数は19年比78・1%とコロナ前に届いておらず、台湾(同88・4%)、香港(52・1%)、タイ(26・4%)となった。中部国際空港(セントレア)着の便数が回復していないことが理由。物価高騰により、旅行会社がバスやホテルを確保できず、団体ツアーの集客に苦戦している。