斉藤由貴、女優は天職?「空母いぶき」「長閑の庭」と活躍
斉藤由貴が本来の女優業で話題を集めている。公開中の映画「空母いぶき」(若松節朗監督)で本田翼の上司役を好演、2日からはNHK BSプレミアムで出演ドラマ「長閑の庭」がスタートと充実している。一昨年はスキャンダルでNHK大河「西郷どん」を降板するなど活動状況が危ぶまれた時期もあったが、底力のある女優だけあって完全復活を遂げたようだ。
「空母いぶき」で本田翼の上司を好演
映画「空母いぶき」ではネットニュースP-Panelのプロデューサー、晒谷桂子役にキャスティングされた斉藤。かわぐちかいじ氏の原作マンガにはないキャラクターで、取材のためいぶきに乗船している本田翼演じる記者、本多裕子の上司役だ。有事の最前線を描く同作にあって、登場場面のほとんどがネットニュース社内に限られる地味な役ではあるが、仕事ができてスタッフにも理解のある上司という役柄に斉藤はぴったりフィット、しっかりと場を引っ張り、存在感を醸し出している。さすがの演技力と言っていいだろう。 「スキャンダルで謝罪会見まで開いた2017年、まだ騒動の渦中にある時期に公開された是枝裕和監督の映画『三度目の殺人』での演技が高く評価され、ブルーリボン賞の助演女優賞まで呼び込みました。まさに“魔性の女”の面目躍如と言っていいのでは。その後、単発や深夜枠のドラマに顔を出し盤石な仕事ぶりを見せていましたが、今年に入ってからは竹内結子主演のドラマ『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』で30年ぶりにフジテレビ系連ドラ出演など、本来の女優業での話題性にも火がついた形です」と話すのは、スポーツ紙の40代男性記者だ。
素の私って何かが欠落していて…
1984年に第1回東宝シンデレラオーディションで最終選考まで残ったことをきっかけに芸能界入りした斉藤だが、同年の第3回ミスマガジンでグランプリに輝くと、キャリアの初期はアイドルとして一躍ブレーク、ネームバリューを高めていった。 「斉藤クラスなら、アイドルの頃は年に1日ぐらいしか休みがなかったはずです。当時のアイドル界はソロのアイドルが全盛でしたし、替えがきかない。イベント一つとっても、体調が悪いからお休みしますと言ったら、イベントまるごと吹き飛んでしまう。いま女優として活躍しているアイドル出身者はたくさんいますが、売れっ子アイドルの過密スケジュールに鍛えられた根性は並大抵のものではないですよ」とは、民放放送局の50代男性プロデューサー。 実際、斉藤は3月に放送された「ボクらの時代」(フジテレビ系)で、アイドル時代について「あっちこっちから飛んでくるボールをどうやって落とさないで打ち返すかっていうことだけで、精一杯だった」と振り返っていた。斉藤の出演回は、前述の同局系ドラマ「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」で共演した竹内結子、水川あさみと3人でトークしたもの。女優業についても竹内、水川を前に、「素の私って何かが欠落していて、人として成立できていないところがある。人間誰しもそうかもしれないけれど、私ってなんなのかなっていつもいつも思いながらいて、女優をやっていてシュッと入ったときにまわりが見えなくなるような瞬間があって、その瞬間が得も言われぬ喜びになったりする」と語り、死ぬまで女優の仕事を続けられたらいいなと話している。 斉藤にとって天職といえるのが女優なのだろう。器用な人ではないのかもしれないが、映画やテレビの画面、あるいは舞台で見る斉藤の芝居は、いつも芯の通った存在感を放っている。 (文・志和浩司)