トレードどうやって決まる?大型より再生トレードの時代
巨人から日ハムに移籍して輝きを取り戻した矢野謙次外野手(34)の姿を見ていると、トレードも捨てたものじゃないと考える。巨人の矢野と須永英輝投手(29)、日本ハムの矢貫俊之投手(31)と北篤外野手(26)の交換トレードが発表されたのが、10日。矢野は、すぐに12日の横浜DeNA戦で「6番・DH」で先発出場。二塁打を3本放ち、いきなりお立ち台に呼ばれて「ファイターズ最高!」と叫び、14日の同カードでは6回に逆転3ラン。再びヒーローとなった。 矢野は、生え抜きの代打の切り札として13年巨人でプレーしてきたが、今季は外野競争が激化。矢野自身も、右ひじの手術で出遅れ、わずか8試合出場しかチャンスをもらえずに2軍調整が続いていた。巨人は、その昔“飼い殺し”で有名な球団だった。他球団の編成担当から「巨人の2軍は宝の山」「もったいない。うちの球団ならローテーションに入れる」などの話を良く聞いた。今や、その宝の山をファームに持っているのは、ソフトバンクで、時代は大きく変わっているが、今回の巨人―日ハムのトレードは、陽を故障で欠くなど、もう1枚経験のある外野手が欲しかった日ハムからのアクション。相手がパ・リーグの球団であることと、2008年にマイケル中村投手、工藤隆人外野手と、二岡智宏内野手、林昌範投手の大型トレードを成立させるなど、信頼関係の深かった両球団ゆえに実現したトレードだろう。 大学選手権に顔を出していた編成担当の一人は「これからは大型トレードではなく、矢野のような再生トレードの時代になるかもしれないな」と語っていた。 そもそも日本のプロ野球のトレードは、どうやって決まるのか? 説明するまでもなく、トレードは需要と供給の関係。どちらかの球団が先に仕掛けなければ交渉は始まらない。その仕掛けに至るプロセスも、チームによって、そして時代によって変わってきた。メジャーの場合、GMがすべてを取り仕切るが、日本の場合は、まだGM主導型でパーフェクトに成功しているームは少ない。まして予算も含めた決定権を持っているGMも少ない。中日の落合博満GMくらいだろう。