ディーゼル車代替の本命!? 長距離・重量物輸送用に燃料電池の開発が活発化!
長距離輸送用の燃料電池システム
新型燃料電池はコンパクトなデザインながら350kW(470hp)を発揮し、高度に統合された単一のシステムパッケージにより重量も軽い。航続距離や積載量など大型ディーゼル車と同等のパフォーマンスを実現する。 BZA150型より燃料消費量を20%低減したのは、電力密度を30%向上したことで可能になったそうだ。 また、車両インテグレーションに関しては、ピーク負荷時の排熱を40%低減したことでトラック本体の冷却要件が大幅に緩和された。商品戦略上は極めて重要な改善点となるだろう。 セルセントリックのCTOを務めるニコラス・ローラン氏はACTエキスポにおいて次のように話している。 「弊社の次世代燃料電池システムは大型車のゼロ・エミッション輸送に新しい可能性をもたらします。そのパフォーマンスは、とても要件の厳しい(北米の)大型トラックによる長距離輸送に合わせてあります。 長距離輸送という市場は、燃費だけでなくあらゆる側面において総保有コストに敏感です。航続距離、耐久性、信頼性、そのどれか一つであっても犠牲にはできません。 開発で念頭においたのは北米の長距離輸送に求められる要件を満たすことです。TCOという観点で見れば、セルセントリックの次世代燃料電池はゼロ・エミッションの長距離輸送においてゲームチェンジャーとなるでしょう。私たちはこの重要な市場において、持続可能な輸送を実現するという大切な役割を果たします」。 長距離輸送用トラックの累計走行距離は、100万kmを超えることも珍しくない。稼働時間も長く、新型燃料電池のライフタイムは、実稼働時間にして25,000時間とした。車両としての耐用年数を超えても、システムは持続可能性に貢献する。 トラックの一度の走行距離が長いほどBEVによる輸送電動化は難しいとされ、米国、メキシコ、カナダの「USMCA」市場で水素ベースのモビリティソリューションの需要拡大が見込まれている。 また、米国では環境庁の「大型車温室効果ガス排出基準 フェーズ3」の最終案が公表され、政策的に助成金が用意されるなど大型車のゼロ・エミッション化に向けた道筋が整ってきている。 セルセントリックが当初から北米の大型長距離輸送市場の要件を考慮するのは、こうした市場予測に基づくもののようだ