「レズビアンを理由に迫害を受ける恐れがある」ウガンダの女性は、かろうじて裁判で救われた 関空で「帰れ」→難民認定されず→有識者は話も聞かず【あなたの隣に住む「難民」①】
一連の経緯は、日本の難民保護の不十分さを浮き彫りにした。裁判で難民と認められるような人でも、空港で難民申請しようとすると、入国を拒否されたり、収容されたりしているのだ。 国連難民条約は、人種や宗教、政治的意見などを理由に、母国で迫害される恐れのある人を難民として、条約加盟国に保護を義務付けている。日本も加盟しているが、難民が適切に保護されていないとの批判が強い。 たどり着いた日本の空港で、追い返された外国人は少なくない。その理由を、元入管職員はこう説明する。「難民申請されると法律上、強制送還できなくなるから、入管としては入り口を閉じようとする」 田中代表は批判する。「マリアさんのケースは、ウガンダの状況をちょっとでも調べれば、帰したらいけないと分かる。参与員も彼女の話を聞くべきだった」 なお、参与員を巡っては、2023年春の入管難民法改正案の国会審議で、入管庁が一部の参与員に極端に多くの審査を任せていたことも判明。「恣意(しい)的運用だ」と反発を招いた。 【取材記者から】
「難民」と聞くと、遠い外国の話だと思われるかもしれません。でも、自分は難民だと言って、日本で保護を求める外国人が急増しています。2023年に難民認定を申請した人は1万2000人を超え、過去最多に迫る勢いです。 なぜ増えているのでしょうか。新型コロナウイルス感染防止の水際対策が解除され、世界各地で紛争が多発していることが主な原因です。 難民とは一般に、戦争や災害などで故郷を離れざるを得なくなった人を指します。ただ、記事にあるように、難民条約の定義はそれよりも狭く、政治的意見などのために迫害されかねない人を難民(条約難民)と定めています。 ウクライナやパレスチナのような紛争地から避難した人は、条約難民に該当しないこともあるため、多くの国が条約とは別の枠組みで受け入れています。日本も23年12月、紛争避難民らを難民と同様に保護する「補完的保護」の制度を導入しました。 難民・避難民は、私たちの隣にいます。どんな人たちなのでしょう?訪ねて話を聞き、この連載記事にまとめました。