宮迫博之の”実家の味”も…お好み焼き、たこ焼き、焼きそば「粉もん店」がいま次々と倒産しているワケ
継承が難しい地元の「馴染みの味」…コスト上昇、跡継ぎ問題、人手不足に耐え切れず
これらの倒産はすべて、資本金1000万円未満、従業員5人未満と小ぶりな規模で、「粉もん」と呼ばれるお店が苦戦している実態が浮かび上がってくるという。 商工リサーチ情報部の担当者は「販売に苦戦して赤字が続いていたところに、コスト上昇を抑えることが難しくなって倒産するケースが増えています」と話す。さらに、こうも解説する。 「粉もんのお店は近畿地区に多くあり、倒産件数も多いのですが、今年度上半期の倒産は関東で増えています。 同じく小麦を食材に使うラーメン店などもコスト増の影響を受けるなど、飲食店の倒産はかなり増えています。食材や光熱費などのコスト上昇に、コロナ禍からの人手不足で、お客さんが回復してもスタッフが集まらないこともあります。人手不足や人件費上昇もかなり影響しています」 商工リサーチは倒産の原因について、小麦や卵など食材の値上がり、光熱費などのコスト上昇、アルバイトなどスタッフの人手不足に加え、人件費の上昇などを挙げる。一方、今年度上半期の倒産の特徴としては、12件のうち関東が7件と6割近くを占めている。商工リサーチは「コロナ禍で様子が変わったのか、関東が5年ぶりに近畿を上回った」と分析している。 粉もん店が倒産すると「1店舗だけで終わることが多く、他社が買い取るなど譲渡されるケースが少ないのも特徴です」(商工リサーチの担当者)。閉店がすなわち、地元で馴染みのあった粉もんの味が承継されなくなることを意味する。 飲食業界はコロナ支援も終わり、経営環境が厳しくなっている。「持ち帰りや宅配など飲食の全業種で倒産が増えており、淘汰が進んでいます。食材・食品をスーパーで買うなど、節約志向では」と商工リサーチの担当者はみている。 冷凍食品でも、粉もんには違いないが、街角のお店で熱々を食べるのとは、味も気分もまったく違う。街角の粉もん店は、外食店のなかでも庶民的で、低料金で気軽に利用できただけに、愛好者にはさみしい時代となってきた。 取材・文:浅井秀樹
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