火照ったら凍った湖でクールダウン。度胸が必要、極寒フィンランドのサウナ
散らついていた雪も止み、風も止まった。対岸の丘陵を鏡のように写し出す湖。時間が止まったようなその光景は今でもはっきりと覚えている。冬の北欧を旅したのは2年前のこと、今年独立100周年を迎えるフィンランドに再び向かった。 (2017年12月撮影)
サウナ発祥の地でもあるフィンランド。その歴史は古く、かつては子供を出産したり、人が亡くなると最後に体を洗うという神聖な場所でもあったそうだ。サウナはほぼどの家庭にもあり、ホテルや空港でも見かけるほど身近にある。 サウナにもいろいろ種類があるようだが、元祖と言われるのがスモークサウナだ。薪をくべて石窯にのったサウナストーンを熱し、十分に熱せられたところで室内から煙を抜き出し、石の余熱で温まる。温まった頃に水やお湯を石にかけ、その蒸気でさらに高温にさせ、身体の芯まで温めるというものだ。 熱気とスモークの香りが日本のサウナでは味わえない独特の雰囲気である。この時期は、火照った身体の状態から雪の上を転がったり、凍った湖に穴を開けたところに浸かったりしてクールダウンさせる。初めて体験した時には相当勇気がいったのだが、繰り返すうちに血行が良くなり、体に膜が張ったような感覚になっていく。 フィンランドの人にとってサウナは、単に健康や美容の目的だけではなく、人々が語り合う社交の場としての意味合いもあるそうだ。(つづく) (2017年12月撮影・文:倉谷清文) ※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<独立100周年、冬のフィンランドへ>倉谷清文第8回」の一部を抜粋しました。