JAL、A350-900も異常なし エンジン自主点検が全機完了
日本航空(JAL/JL、9201)は9月6日、エアバスA350-900型機のエンジン自主点検を終え、全15機に異常がなかったことを明らかにした。キャセイパシフィック航空(CPA/CX)のA350-1000でエンジン部品の不具合が見つかり、JALは5機あるA350-1000に加え、型式証明が異なるエンジンを積む15機のA350-900も自主点検し、2機種20機すべてに異常がないことを確認した。また、エンジンメーカーの英ロールス・ロイスからA350-1000向けエンジンのみ改修指示が出たことから、30日以内にA350-1000の追加検査を実施する。 【写真】JAL A350-900のコックピット JALは国内線で標準型のA350-900(3クラス369席/391席)を15機、長距離国際線で長胴型のA350-1000(4クラス239席)を5機運航中。キャセイが運航するA350-1000のエンジン部品不具合は、現地時間2日に香港発チューリッヒ行きCX383便(A350-1000、登録記号B-LXI)で発生した。 A350のエンジンは航空会社を問わず共通で、JALのA350-1000も同じ英ロールス・ロイス製Trent XWB-97(トレントXWB-97)を搭載。JALはA350-1000の自主点検を3日に初号機(JA01WJ)、2号機(JA02WJ)、もっとも新しい5号機(JA05WJ)の3機、4日に残り2機の3号機(JA03WJ)と4号機(JA04WJ)の検査を終え、すべて異常はなかった。 A350-900は別のエンジンであるTrent XWB-75を搭載しているが、JALはA350-900も自主点検の対象に加え、4日に10機、5日に残り5機の検査が終了し、全15機に異常がないことを確認した。 JALのA350-1000は今年1月24日に就航。置き換え対象のボーイング777-300ER型機と同数の13機を発注済みで、現在5機受領している。2019年9月1日に就航したA350-900は、国内線機材として16機受領したが、今年1月の羽田事故で13号機(JA13XJ)が全損となり、代替機を2025年度下期に受領する。 今年7月には、A350-900を国際線機材として20機追加発注。2027年度から北米・アジア・インドを中心とした、今後成長が見込まれる地域と日本を結ぶ国際線に投入する。 A350-1000向けのTrent XWB-97は、A350-900向けのTrent XWB-84や-75などと比べ、新しい高温タービン技術やより大きなエンジンコア、ファンの空力特性の組み合わせで推力を増加させた。EASA(欧州航空安全庁)の型式証明は、Trent XWB-75、-79、-79B、-84は2013年2月7日の取得で、Trent XWB-97は4年後の2017年8月31日に取得している。 キャセイも全48機のA350を対象に自主点検を実施。A350-1000が18機、A350-900が30機で、部品交換が必要な15機を3日に特定した。日本時間4日夜の時点で6機が修理完了、残り9機も修理を進め、7日までに運航を再開する見通し。
Tadayuki YOSHIKAWA