吉田麻也の交代は懲罰か?
センターバックの再考
吉田の交代後にも1点を失い、宮城スタジアムで最多となる4万5883人の大観衆の前で2対4の惨敗を喫した。2013年に入ってからの13試合で重ねた失点は、これで「25」に達した。相手のセットプレーに対するチームとしてのマーク甘さが招いた失点もあれば、ブラジルの個の力で完璧に崩された失点もある。 決して個人を攻撃するつもりはないが、その中で吉田個人の不用意なミスから喫した失点は、ウルグアイ戦の2失点を含めて最低でも「4」を数える。組織で守るのが日本の武器であるが、1対1で勝負できる個がベースとしてあるのが最低条件。 189cmとザックジャパンの中で最長身を誇る吉田は不動のレギュラーとして起用されてきたが、失点に直結するケアレスミスがこの先も繰り返されるようならば、それも再考せざるを得なくなる。 代役は伊野波が、ザッケローニ監督の中では第1候補となるのだろう。確かに吉田よりもスピードはあり、スアレスにも負けない場面もあったが、クリアすべき場面でボールを奪われるなど心もとないプレーも多かった。179cmという身長も物足りない。 東アジアカップで及第点のプレーを演じ、今回も代表に選出された183cmのDF森重真人(FC東京)も代役候補の一人だ。しかし、その課題のポジションの選手をザックはこの日、交代枠があと「2」も残っているというのに使わなかった。それほど吉田のミスに冷静さを失っていたか。それとも……。 ワールドカップまで殘り10か月の時間しかない。 守備陣は、何をどう改善していけばいいのか。 再び今野に聞いた。 「リスクマネジメントを100パーセント徹底すること。機械のように動いて、声を出しながら続けるしかない。抜かれてもしつこく対応して、チャレンジ&カバーを徹底する。そうすれば相手もミスをするかもしれない。あとは球際の強さ。ウルグアイには、それがあった。オレらもそれを出していかないといけない。スライディングするとか、体のどこかに当てて跳ね返すとか」 試合後の取材エリアとなるミックスゾーン。 吉田にも、同じ質問をぶつけてみた。 「守備陣は失点が続いていますけど、急に大きく改善されるとか、評価が180度変わることはないので、一歩ずつ地道にやっていくしかない。ピンチがあまりにも失点に結びついているので、まずは失点そのものを減らしていきたい」 吉田なりに心に期するものはある。 最後に「交代は懲罰と思うか」と、問われた吉田は「何だろう。分からない。監督に聞いて」と短い言葉を残し、苦笑いを浮かべながら帰りのバスに乗り込んでいった。 (文責・藤江直人/論スポ、写真・平野敬久)