中野サンプラザ跡開発、特別委に区長「強い姿勢で事業者と交渉」
抜本的に見直される東京都中野区の「中野サンプラザ」跡地の再開発をめぐり、酒井直人区長が11日、区の負担が「これ以上増えないよう事業者との交渉に強い姿勢で臨む」との意向を示した。見直しをめぐっては、区の責任を問う声が議会で強まっていて、民間に負担を求めたい考えとみられる。 【写真】中野サンプラザ跡地に建設予定だった「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」=野村不動産提供 区議会の特別委員会で述べた。見直しの主因は事業費の高騰で、委員会ではこの点について区長への質問が相次いだ。事業規模が縮小する可能性を問われると、区長は「サンプラザのDNAは継続したい。その中心はサンプラザホールだ」と答えた。ただ、建物の規模など詳細は語らなかった。 また、区長によると、面会した事業を担う野村不動産の社長は「何としても(計画を)実現したい」と話していたという。 区長の特別委出席は、計画の認可申請取り下げや見直しという異例の事態への説明責任を問う声が強まり、議会側が要求していた。 中野サンプラザは老朽化などを理由に昨年7月、閉館した。区によると、跡地に建設が予定されていたのは地上61階、高さ約250メートルの複合施設「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」。高層棟にオフィスや住宅、展望施設、隣接する低層棟には収容人員7千人規模の大ホールやホテルが入る予定で、子どもの遊び場や会議室も整備する計画だった。今年7月の時点で事業費を2639億円と見込んでいた。 だが、事業を担う野村不動産が9月上旬、区に人件費の高騰や物価高を理由に「工事費が900億円超増える」と連絡。区は今年度の着工を断念し、29年度内の完成も延期していた。10月11日には事業を担う4社が、都への事業の認可申請を取り下げた。24日には酒井区長が事業の見直しを表明し、今年度内に新たな再開発計画や解体時期などのスケジュールを示す方針を示していた。事業者側は「2025年度内の認可申請は困難」と区側に伝えている。(木佐貫将司)
朝日新聞社