（写真：東奥日報社）

　青森県立中央病院と青森市民病院の統合新病院整備を巡り、同市浜田の県営スケート場一帯の近隣町会が候補地決定前に住民を対象に実施したアンケートの結果、一帯への新病院整備について賛成と反対の意見が割れていたことが町会への取材で分かった。渋滞や騒音など生活環境の変化を不安視する人が少なくなく、町会長らは今後の進め方に当たっても地域の声をないがしろにしないよう訴えている。 　スケート場一帯を巡っては、市が地域住民から意見を聞くため、9月1日に周辺町会の役員らを集め懇談を実施。この後、スケート場やサンドームがある「浜田青葉台町会」（菊池博英町会長）と、浜田中央公園がある「浜田ニュータウン町会」（加藤恒雄町会長）は住民の意見を広く確かめようと自発的にアンケートを配布し、14日に結果を市に報告した。その2日後の16日、県と市はスケート場一帯を候補地に決定した。 　アンケートの最終結果によると、浜田青葉台町会で回答があった142世帯（回答率95％）のうち、「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答したのは35.9％。「反対」「どちらかといえば反対」は47.2％で反対が賛成を上回った。一方、浜田ニュータウン町会の戸建て374世帯（回答率65％）は「賛成」「どちらかといえば賛成」が45.9％、「反対」「どちらかといえば反対」が41.6％となり、賛成が反対をやや上回った。 　両町会とも賛成の人を含めて周辺の交通渋滞への懸念が特に多かったほか、騒音や日当たり、景観など住環境の変化に不安を抱く声も多く挙がった。賛成とした人は「近くに大きな病院があれば、万が一のことがあっても安心」というのが主な理由だった。 　加藤町会長は結果を伝えた2日後に候補地が決まったことに「知事や市長は賛否の数字だけでなく住民の声もちゃんと読んでくれたのか」と首をかしげつつ「地域住民の心配を踏まえ、意見を吸い上げて整備の計画を作ってほしい」と訴え。今後改めて2町会以外を含む周辺町会の意見を取りまとめたいとした。菊池町会長は「生活している人がいる地域。一度の懇談で終わりではなく、これからも住民の声を聞いたり、具体的に説明したりする機会を設けて」と話した。 　奈良英文市民病院事務局長は取材に「町会の独自アンケートで出た意見は市長に報告し、住民懇談で挙げられた（スケート場一帯に病院整備がされる場合に伴う）さまざまな懸念事項なども含め、16日の知事との会談に当たって参考にした」とし「いただいた意見については、それを全て受け止めて課題として捉え、今後も県と連携し、タイミングを見ながら地域住民の意見をしっかりと聞いて病院整備に当たっていく」と述べた。