ハリウッドで議論 顔を出さない俳優もアカデミー賞候補になるべきか?
『猿の惑星:新世紀(ライジング)』が9月19日(金)から日本でも公開される。すでに公開されている海外では、前作の『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』を大きく上回る成績を大ヒットを記録しているが、その本作の主人公がハリウッドで物議を醸し出している。猿のリーダー、シーザーを俳優アンディ・サーキスがパフォーマンス・キャプチャーで熱演しているが、来年度のアカデミー賞候補になるべきでは、という論争が巻き起こっている。 『猿の惑星』特別映像公開 空白の10年が明らかに! パフォーマンス・キャプチャーとは、実際の人間などの動きをデジタル的に記録する技術で、『猿の惑星:新世紀(ライジング)』では、シーザーを演じたサーキスの体に複数のマーカーを装着し、その演技をデジタル的に記録。CGを重ねて猿のシーサーを表現している。繊細な猿の動きをサーキスが“オスカー俳優級”に演じているからこそ、よりリアルな映像となっている。 サーキスは、これまでにも『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のゴラム役、『キング・コング』のキング・コング役を熱演し、『スター・ウォーズ』最新作への出演も決定するなど、パフォーマンス・キャプチャーを使った俳優として第一線で活躍している。以前から「パフォーマンス・キャプチャーは、アカデミー賞の演技部門に含まれるべき」と公言しているサーキスだが、一方でアカデミー賞の投票権を持つ俳優たちの中には、自身の立場を脅かすデジタル技術を駆使した“顔を知らないメガヒットスター”への評価に異論を唱える人もいて、大きな話題となっている。
しかし、今回の『猿の惑星:新世紀(ライジング)』を鑑賞した多くの米マスコミ関係者からは、シーザーを演じたアンディ・サーキスに多くの賞賛が集まり、米国有力誌がサーキスへの正統な評価、アカデミー賞のあり方を報じているという。 今回の論争についてサーキスは、「アカデミー賞の議論が起きて、映画界の方々に認められるのはとても嬉しく素晴らしい事です。本当に素晴らしい俳優が、いい演技をしているからこそ議論され、注目してくれているのだと思います。私たちがやっているのは実写の俳優と同じ。演技をしているのだから、それを認めてもらえ、この仕事を知ってもらえるというのはとても重要な事でもある」と、高い評価に納得した様子。言葉をあまり話さない猿のシーザーを演じるにあたって、どうやって感情を表現するかなど、課題が多い中での挑戦だったそうで「私のパフォーマンス・キャプチャーを通した演技が、世界の観客に伝わって評価されるんだということが分かり、大変満足感を得ています」と思いを語った。 ハリウッドで議論となり、アカデミー賞のあり方さえも、変化が求められるほどの名演だったサーキスが表現したシーザー。今週末、公開される日本での動向次第では、サーキスのアカデミー賞候補入りに追い風を巻き起こすかもしれない。 ■公開情報 『猿の惑星:新世紀(ライジング)』 配給:20世紀フォックス映画 配給 (C)2014 Twentieth Century Fox 9月19日(金)全国ロードショー