「釜ヶ崎は怖い」…日雇い労働者の男性が急に近づいてきて…『伝説のストリッパー・一条さゆり』を演じた女性の身に起きたハプニング
不幸でもしょうがなかった
17回忌の公演で千代次は「あれからの一条さゆり」(和子)を演じた。相手は「これからの一条さゆり」(さゆり)役の鏡野有栖だった。 さゆり「お客さんの喜ぶ顔見てるうちに少しずつわかったんだ」 和子「(踊るのが)嫌じゃなくなったんか」 さゆり「何もかも忘れて踊れば踊るほどやさしい気持ちが胸のうちにぽつんと点るの」 和子「野の花のようなはかないともしびやねぇ」 千代次は一条について、こんな感想を持っている。 「ばかな人だったなと思います。踊りのために人生を棒にふった。自分もそういう人生を追っていると思います。釜ケ崎で死ぬという運命に自分が重なった気がしました。一般的には不幸せな人生です。でもしょうがなかった。自分も(好きな芝居をやっているから)不幸せでも、しょうがないかなと思うときはありますから」 『「昭和は過ぎ去り、ストリップの時代も終わった」…二代目・一条さゆりを「引退」に追い込んだ『時代の変化』』へ続く
小倉 孝保(ノンフィクション作家)